mixiユーザー(id:4550802)

2015年12月12日23:50

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幸福な死/カミュ

 わずか150頁程度の中編でありながら、ドストエフスキー『罪と罰』と真っ向からぶつかり合うような、そんな小説。殺人を犯し、金を奪う―その犯罪行為とその後の青年の思索を追う、という外形こそ同じでもなんと正反対なのだろう。重苦しいロシアと、アルジェの照りつける陽光(その美しさは文中でも残酷なほどに描かれている)、という風土の差にしてしまうのは単純すぎるか。あるいは「神」の不在・・・?だがそこに開いた目くるめくような魂の断崖絶壁、その深さと、それを覗き込む作家の真摯さには変わりはないようにも思う。
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