mixiユーザー(id:4601390)

2015年12月07日21:32

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偶感

 杉原千畝に関する映画が作られたようだ。予告編しか見ていない。いつも希望に従って映画鑑賞につきあわされる愚息が鑑賞を希望する映画とも思えないので、多分未見に終わるだろう。映画を見ることはないだろうが、とある縁で舞台化されたものは見ている。どんな人物だったかは、佐藤優も言及している。大体の所は承知しているつもりだ。だが、舞台や予告編を見ているときにはまったく思いつかなかったことがあった。
 今日、フィッリプ・K・ディックの小説「高い城の男」のことをふと思い出した。これは、杉原千畝が直接出てくる小説ではない。第二次世界大戦で連合国側が敗れて枢軸国側が勝利し、アメリカがドイツと日本に分断支配される設定のある種のSFだ。読んだときに奇妙に思えたのは、設定もさることながら、ドイツのユダヤ人差別に日本側が必ずしも同調していないことに対する違和感だった。
 しかし、杉原千畝が実在することや、「五族協和」を額面通りに受け取ると、「高い城の男」の日本側の姿勢もあながち荒唐無稽でもないのかもしれない。フィッリプ・K・ディックの嗅覚が、そうした点に反応したとしか考えられない。「五族協和」を額面通りに受け取る態度は、井筒俊彦イスラム学の出発点ではなかったかと愚考しているが、そのこととの辻褄も合いそうだ。
 歴史は一筋縄ではいかないことの一例となるだろうか。

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