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2015年11月26日17:57

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パミラ・カイル・クロスリー『グローバル・ヒストリーとは何か』

 パミラ・カイル・クロスリー『グローバル・ヒストリーとは何か』(佐藤彰一訳、岩波書店、2012年)を読了。グローバル・ヒストリーに取り組む歴史家は、事実を発見してそこから第一次的な歴史を組み立てるのではない。他の歴史家たちが行った研究を使って比較を行い、大きなパターンを掴み出し、人類史の本質と意味を解き明かすような変化について理解する仕方を提起する。
 人類がこれまで実現したグローバル・ヒストリーの叙述は、「発散」・「収斂」・「伝染」・「システム」の四類型に分類できる。「発散」は人類が拡散し、集団の規模や定着した場所の自然環境により多様化していくとする。「収斂」では人類が多様な発展の中で同じ最終点に到達するとされる。
 「伝染」と「システム」は「発散」と「収斂」とは異質で、パターンの内部に潜むダイナミズムの様態を説明する。「伝染」は病原菌の感染と流行による人口の大量消滅や社会への心理的ダメージがグローバルな歴史の行く末を左右するとし、寄生生物と宿主の疫学的な関係は社会統御のメカニズムを解明するのにも役立つ。「システム」が歴史がシステム論的に把握される。
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