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2015年11月24日12:25

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長縄光男『ゲルツェンと1848年革命の人びと』

 長縄光男『ゲルツェンと1848年革命の人びと』(平凡社新書、2015年)を読了。一九世紀前半のロシアに生まれたゲルツェンは、「デカブリストの叛乱」によって政治意識が目覚めた。彼は斃れたデカブリストたちの復讐を誓い、後に一家を挙げてロシアを出た。
 ゲルツェンは西欧で「四八年革命」に際会した。ここで現出したのは下層の民衆に対してブルジョアジーが勝利するプロセスだった。生涯をかけてデカブリストたちへの誓いに忠実であったゲルツェンは「人間の自由と尊厳性」を護る思想に拠って立ったが、その価値が実現される場を西欧に期待できなくなった。
 ゲルツェンは祖国に帰れなかったが、ヒューマニズムの価値が実現される場をロシアに求めた。ロシアは西欧諸国で既に消滅した農村共同体を未だ保持しており、農村はブルジョア的価値観に汚染されておらず、若い知識人たちが西欧の生み出した普遍的な価値である人間中心主義を扶植すれば、新しい社会を打ち立てられると考えられた。ゲルツェンはフランスのプルードンやミシュレ、イタリアのマッツィーニやガリバルディ、イギリスのオーウェンと対等な自立した民主主義と社会主義の独唱者だった。
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