単館上映で見損なったこの作品、DVDでようやく鑑賞。
風采の上がらない中年男ジョン・メイはロンドンの公務員であり、地区の民生係をしている。
孤独死した人の遺品を調べ、係累を探して連絡し、一人で葬儀に参加する。
僅かな手掛かりからようやく見つけた家族に連絡しても、参列を拒否されたりする。
死者に敬意を込め、その宗教や生き様を調べ、その人に合った弔い方を
丁寧に几帳面にする。
そうした彼に上司は手間のかけ過ぎだと、あっさりと解雇を言い渡すのですが
最後の案件の、亡くなった隣人の弔いに彼はまた、真摯に取り組もうとする。
ロンドンのどんよりとした空、静かな街並みの中、話は淡々と進むのです。
小さな整頓された部屋に住み、判で押したような単調な生活を送る。
夕食は毎日缶詰一つに薄切りトースト一枚、リンゴ一個。
誰と話すこともなく、誰に認められることもなく。
そんな彼にようやくときめくような出逢いがあり、人生が変わりそうな、その矢先。
いや、あの展開はずるいでしょう?
これだけ静かに話は進んできたのに、いきなりこれって。
こんな展開を見るために、私はここまで単調な話を見続けてきたんじゃない!と
誰かに怒鳴りたい気分。
悔しいけど、やはり込み上げてくるものがある。
あのラストは、真摯に仕事に取組み、誠実に死者に向き合ってきたジョンに対する
御褒美なのだと思いたい。
そうじゃなきゃ、報われないよねえ…
中盤、街なかで見かけた、嫌味な上司の車アウディにジョンがした行為には
ちょっとだけスッキリさせられました。
原題「still life」は静物画というような意味。
色合いの乏しかった、静かなもの悲しいジョン・メイの人生を表しているのでしょうか。
「おみおくりの作法」
http://bitters.co.jp/omiokuri/
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