人間が皆双子として生まれるようになった核戦争後の未来社会を描く、ポストアポカリプスＳＦ。生死を共有し、片方が障害か異能を持つオメガ、として差別される・・・という極めて特異な設定が本作のキモになっているわけだが…この設定で描くならもっと突き詰めて描くか、それとも寓話的に描くかのどちらかに寄せねばならないと思う。片割れが死ねば自分も死ぬ、というのに健常者のアルファが、障害を持つオメガをゲットーに隔離して差別して放置する、というのは人間心理的にあり得るものだろうか？まして、権力者たちが自分の双子を「保護」するために隔離施設を作ってそこに幽閉する、というのは・・・。科学の衰退した世界で身体障碍者を拘禁するほど、寿命を縮める行為はないのではないか。いつの時代のアニメだよ、って感じの水槽に閉じ込めておく、とか謎のコンピューターで名簿を一括管理、とかも、科学技術がタブー視された社会、という背景を考えれば無理すぎると思う。・・・とこんな具合に、疑問ばっかりが湧いてでて、テンポよく進むストーリーにノリきれなかった。そっちもタンクから数年ぶり(？)に助け出されたばかりの隻腕の少年と女の子だけで、馬とか船とか盗んで逃避行とか無理すぎるだろー、とやっぱりディティールが気になるのであったが。
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