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2014年12月22日13:16

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大川怜子『イスラーム化する世界』

 大川怜子『イスラーム化する世界 グローバリゼーション時代の宗教』(平凡社新書、2013年)を読了。近代以前、イスラームの聖典クルアーンはムハンマドやイスラーム最初期の伝承に依拠して解釈するのが主流だった。しかし、近代に欧州の衝撃を受けたムスリム知識人は、これまでのクルアーン解釈に疑問を感じ、伝承にのみ準拠しない解釈方法論が多種多様に提示された。
 現代になってムスリム共同体もグローバル化すると、アラブ人でも宗教学者でもない者たちが英語で解釈書を著し、注目を集めるようになった。アフリカ系アメリカ人の改宗者である女性ワドゥードは男女平等の視点でクルアーンを解釈し、男性中心やアラブ中心主義を批判した。南アフリカのムスリムであるイサクは他宗教徒との共存をクルアーンに読み、親和的連帯によって人種差別に対抗した。
 ジャマイカ出身のカナダ人改宗者であるフィリップスは逐語解釈に回帰しつつ、伝統主義的なクルアーン解釈で独自性を示した。トルコ人の世界的な市民運動家であるギュレンはクルアーンの内的意味を追求し、西洋社会と協調して大規模な市民運動を組織した。だが、個人見解を適応したクルアーン解釈は、クルアーンをあるがままに受け入れたいムスリムが多数の社会においては難しい。
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