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2014年12月11日12:56

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松尾剛次『破戒と男色の仏教史』

 松尾剛次『破戒と男色の仏教史』(平凡社新書、2008年)を読了。戒律軽視は日本仏教の特徴の一つとされる。しかし、日本仏教の歴史において殆どの期間は戒律護持が理想とされた。
 それでも、日本では公務員的な僧侶である官僧の破戒が一般化しており、男色に至っては文化の一つだった。そのような官寺にいた叡尊や忍性は、内部批判から戒律復興運動を興こした。他方、親鸞も官僧をしていたが、強烈な末法意識から無戒であっても仏法に結縁させてくれる者が末法では尊重されると主張した。
 もっとも、持戒する叡尊や忍性も、他者のためには破戒も恐れない菩薩行に徹し、ハンセン病患者救済や葬送従事といった社会事業に従事し、鎌倉幕府と朝廷に認められて日本最大の教団を生んだ。だが、そのために「官僧」化していき、戦乱の時代に戒律復興そのものが現実離れしていった。
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