mixiユーザー(id:60260068)

2013年12月24日14:33

7 view

『情事』〜返詩で繋ぐ詩集より


傾く太陽を気にしながら

近寄らないで、と
いばらは真っ赤なフリルをつけた腰をふる

そこまで魅せておいて、と
野ブタは悔しがり、やけになって穴を掘る


太陽は山の尾根をなめながら色めき
フリルの奥に手を伸ばす

いばらは風が吹くたび羽音を探す

野ブタは、なおも穴を掘っている


アイツが羽音を響かせ近づくと
いばらのフリルが共鳴する

太陽はいじわる
山の谷間に潜るとフリルの赤はくすみ
羽音は去っていく



引き裂く悲鳴が発せられた

いばらの根があらわになり
野ブタに倒れかかったのだ

肌に爪を立てられた野ブタは
取り乱し転げまわり
いばらの腰を踏み散らした


色は陰に隠され
月が辺りを灰色に冷ましている






0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する