傾く太陽を気にしながら
近寄らないで、と
いばらは真っ赤なフリルをつけた腰をふる
そこまで魅せておいて、と
野ブタは悔しがり、やけになって穴を掘る
太陽は山の尾根をなめながら色めき
フリルの奥に手を伸ばす
いばらは風が吹くたび羽音を探す
野ブタは、なおも穴を掘っている
アイツが羽音を響かせ近づくと
いばらのフリルが共鳴する
太陽はいじわる
山の谷間に潜るとフリルの赤はくすみ
羽音は去っていく
引き裂く悲鳴が発せられた
いばらの根があらわになり
野ブタに倒れかかったのだ
肌に爪を立てられた野ブタは
取り乱し転げまわり
いばらの腰を踏み散らした
色は陰に隠され
月が辺りを灰色に冷ましている
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