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2013年12月17日04:56

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『夢飛行』


階段の下のコックピット
丸いすに腰かけたパイロット

煙草とお茶のペットポトルを燃料にして
携帯を操蛇しながら宇宙空間に旅立つ

今夜の行き先は冷たい月を横目に
青く眠る地球の夢を巡回する



徹夜のデスクに伏せた戦士はそっとして
じっと静まりかえった川べりに寄せる

こちらの点火の音に気づいたか
慌てた細長い鳥が声をあげて飛びたつ
森の幹に跳ねかえった声が私を責める

今さら抜け出すには鳥に申し訳がたたず
火を消して川面に着水する

先ほどの月が雲の毛布にくるまれて
幸せそうな目で様子を伺っている

冬の水のせせらぎは軽やかで
正直者の顔で流れをつくり
生き物のそばで夢を見せている

月があくびをしたところで
ペットポトルは空になっている
そろそろ帰ろうと思う

再び点火し大きく煙を吐くと
安心した月に別れを告げた





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