『回転』

十字路をうごめいてあふれ出す仮面

それぞれにとり込まれる直線は
互いに重なることもなく

灯台のあかりは何処を照らしているのか


安堵の青が発する警告の破線に
すべての直線が重なり

欺かれた老婆の脳壁を叩く


温かさと冷たさの回転に戸惑いながら
限界の鼓動にきしみが混ざる

老婆が発する無数の直線が
競走馬の横殴りの直線に捕まる


ゲートは開いたが静まりかえっている
一点から放射される記憶の網にかかり
十字路は脈打つ写真になる

老婆がいく

そうとは知らずに
仮面の奥から覗く記憶の道をいく