mixiユーザー(id:60260068)

2013年12月11日02:40

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『散華−sange−』



春の色をなびかせて
あたたかな風が去っていく



世に現れた光とともに芽生えていた
兆しのほのかな匂いが運ばれる
異郷に息づく時を独りじめにするために

霞んだ風景の真ん中に


さくら


夕陽にとけだした念が
幹のたもとから沁み入る

色づいた花びらは
瞳をうめるように舞いおりて
夢のことばを唄いはじめる


まだ早い季節の風に
襟を高くあげて振るまう

空の雲に境目はなくとも
鳥は気にも留めずにすべりゆく


眺めるだけの色の前で
地を這いめぐる時は重なり

静かにおとずれた


さくら吹雪


頬を僅かにかすめて
降りしきる




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