今日は、三舩優子ピアノ・リサイタルに行った。
プログラムは次のとおりである。
・バッハ/ブゾーニ編:シャコンヌ ニ短調
・ブラームス:3つの間奏曲
・ラヴェル:ラ・ヴァルス
・ヤナーチェク:霧の中で
・ヒナステラ:ピアノソナタ第1番
ピアノ:三舩優子
会場:ハクジュホール (19:00 開演)
三舩優子のピアノを聴くのはたぶん初めてだ。このプログラムをたまたま見た時、時代も国もバラバラ、そもそも作品の雰囲気も違う統一感のないものだなと思ったが、きっと何か意図があるのだろうと、聴きに行くことにした。
まずはバッハのシャコンヌから始まる。無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番の終楽章をブゾーニがピアノ用に編曲したものだ。無伴奏ヴァイオリンの中でも長い楽章で聴き応えがあるのだが、ピアノで聴くと、それ以上に壮麗な感じであった。原曲がヴァイオリン独奏曲であることを忘れそうな豊かな響きで、艶のある三舩優子のピアノの音もあって素晴らしかった。
続いてはブラームスの作品117である。これは大好きな曲だ。晩年のブラームスがしみじみと語るような曲で、暗い感じの曲ではあるが決して絶望ではない3曲である。作曲した年齢が三舩優子の現年齢とほぼ同じということもあって、心境的にも共感するものがあるそうで、じっくりと噛みしめるような演奏を聴かせてくれた。
3曲目のラヴェルのラ・ヴァルスはオーケストラ版でしか聴いたことがない。ピアノ版は初めてだ。ウィンナ・ワルツをベースにしているらしいのだが、オーケストラで聴くと、そんな感じはあまりせず、いかにもラヴェルな音楽だが、ピアノで聴くとそのグロテスクさ(?)が一層際立つような感じであった。なかなか面白い。
休憩をはさんで、次はヤナーチェクの「霧の中で」だ。これは、ややマイナーな曲かもしれないが、一応CDでは聴いている。4曲から成る組曲だ。今日のプログラムでは、三舩優子が唯一譜面を見て演奏した曲だ。文字通り霧の中にいるような、なんとも言い難い不安のようなものが感じられ、さまざまな思いが交錯するような、なんともいえぬ音楽である。生で演奏を聴いても不思議な感覚であった。
最後のヒナステラのソナタは全く初めて聴く曲だ、そもそもヒナステラ自体あまり馴染みがない。この未知の作品が本日のメイン・プログラムで、最後にじっくりと聴ける。三舩優子は南米の作曲家の作品も積極的に取り上げているようで、ヒナステラは得意なレパートリーらしい。そんな三舩の演奏によるヒナステラは、リズムが躍動するエネルギッシュな中に、どこか神秘的な雰囲気もあったりして、これまでの4曲とは雰囲気も違って面白かった。最後も大いに盛り上がって終わる。
このあとアンコール演奏があった。ヒナステラのソナタで盛り上がったあとは、同じヒナステラの「アルゼンチン舞曲集」より「優雅な少女の踊り」である。これで優雅に締めるかと思ったら、さらにもう一曲、「これを聴いたら夜の町へどうぞ」と言って、ガーシュインの「The Man I Love」を弾いた。
それで、結局今日のプログラムの意図だが、「いろいろ寄道しながら散策を楽しむ」ということらしい。いろいろな曲を聴けて楽しい演奏会であった。
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