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2024年12月03日20:07

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【読書】 最近読んだ本 備忘禄

最近読んだ本の、備忘的メモ。

●「日本怪奇物語」 (富岡直方著、河出文庫)

昭和九年に刊行された本の文庫版。明治元年から昭和七年までの、日本国内で起きた怪奇実話集といった本であり、新聞や雑誌の記事、伝聞記録などをもとに多くの話を拾っている。不可思議な自然現象、戦慄の事件、珍奇な出来事など、よくもまあこれだけ集めたものだと感心してしまう。「今日では差別的にとられかねない表現」のオンパレードでもあり、「発表時の時代性を鑑み、当時の記述にしたがった」ということだが、そもそもこんなことが新聞記事になっていたのかと思うような内容も多く、まあ時代といえば時代なのだろう。信憑性に疑問を持たざるを得ない記事もあるが、それも時代性なのだろう。でも、現在のインターネット上にあふれている記事も似たようなものかもしれない。むしろ当時の記事の方が、ある意味では真面目に書かれていたのかもしれないと思ったりもする。


●「日本の指揮者とオーケストラ」 (本間ひろむ著、光文社新書)

タイトルのとおり、日本の指揮者とオーケストラを、日本人が西洋音楽に初めて触れた頃から現在までを概観した本であり、あまり濃い内容ではないが流れは分かる。クラシック音楽を学ぶためにヨーロッパへ行き、ベルリンフィルを振った近衛秀麿と山田耕筰の話に始まり、日本にオーケストラがようやく誕生すると、貴志康一と朝比奈隆が関西のデベロッパ的な役割を演じる。そして、齋藤秀雄と小澤征爾の鋼の師弟関係、岩城宏之と山本直純、炎のコバケン(小林研一郎)とみちよし先生(井上道義)、そしてカラヤンの教え子やバーンスタインの弟子の指揮者、ブザンソン国際指揮者コンクールを制した新世代指揮者と話が続く。この本に登場する現在活躍している指揮者は、私自身も演奏を聴いている人も多く、ますますいい演奏を聴かせてもらいたいものである。


●「でたらめの科学」 (勝田敏彦著、朝日新書)

タイトルから内容が想像しにくい人も多そうだが、これは乱数についての本である。規則性のない数の並びが乱数であるが、そんな「でたらめ」だからこそ価値があるのである。そして、その乱数を作り出すことは実は簡単ではないのである。もともとランダムな自然現象を利用して作り出す自然乱数に対し、コンピュータが作り出す疑似乱数は、あくまでもアルゴリズムによって乱数のようなものを作り出しているのであり、実用上問題ないレベルであっても、やはり疑似であることに変わりない。そこには様々な苦労があるのだ。その乱数は商品の抜き取り検査やら世論調査やら暗号やらと、いろいろなことに使えるのである。偏りなく無作為に抽出することが大事だからだ。そして、量子コンピュータや核融合、人工衛星等々、未来の乱数も用途の広がりを見せるであろう。


●「アマテラスの正体」 (関裕二著、新潮新書)

天照大神を祀る伊勢神宮は日本を代表する神社であり、アマテラスは太陽神として崇められているが、皇祖神とされるアマテラスなのに、近世以前の歴代天皇が伊勢神宮を避けていたのはなぜか。その疑問を解くために、「日本書記」に書かれた神話と古代史の出来事を重ね合わせることで、真実が見えてくるのだという。実はアマテラスは宮中に祀られていたのだが、崇神天皇の時代に日本大国魂神とともにそこから出されたのだという。その裏には持統天皇を太陽神アマテラスになぞらえて神話を構築し、本当の太陽神の正体を抹殺したという推測ができるという。もともとアマテラスは大物主神であり、ヤマト建国をめぐる三大勢力について丁寧に読み解いていき、東海系のアジスキタカヒコネは仲哀天皇であり、崇神天皇が恐れた日本大国魂神であると考えることで、アマテラスと伊勢の関係が見えてくるという。複雑かつ独自の解釈で難解な本だが、そもそも古代史には謎が多く、多種多様の解釈ができるということだ。


●「ベートーヴェン<第九>の世界」 (小宮正安著、岩波新書)

12月になって、日本国内では「第九」があちこちで演奏されるという年中行事の時期になったが、そんな「第九」の本である。すでに語り尽くされ今さら感があるものの、なんとなく手に取ってしまった。最初はシラーの「その歓喜に寄す」について、その詩の背景を革命などの出来事と絡めて述べ、ベートーヴェンが合唱付き交響曲という新たな作品に向かっていく過程を述べていく。そこにはベートーヴェン自身の体験が色濃く注ぎこまれているという。そのような作品ゆえに、その後の時代においても、この曲がいろいろな形で象徴的に使われることになり、歴史の中で翻弄されていった。そして、それがエスカレートする危険性も秘めている。ここで改めて「第九」に向き合ってみることも必要だろうということである。
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