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2024年07月02日20:24

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【読書】 最近読んだ本 備忘禄

最近読んだ本の、備忘的メモ。

●「サピエンス前史」 (土屋健著、講談社ブルーバックス)

最古の脊椎動物は、古生代カンブリア紀の半ば、約5憶1500万年前に出現した。それは「眼」をすでに持っていたが、「顎」のないサカナである。ここから様々な分岐を繰り返しながら、顎、腕、指、肺などの特徴を一つ一つ獲得して進化していった。やがて陸上に進出し、二足歩行になり、脳が増大し、道具を使えるようになっていく。この本は進化の過程で獲得した70の特徴を順に追いながら、ホモ・サピエンスへといたる進化の道のりを描く、人類誕生の壮大な物語である。それぞれの段階における生物のイラストも豊富に掲出されており、ヴィジュアル的にも楽しめる楽しい本である。もちろん実際にこれらの動物が生きている姿を見た人はいないし、きちんとした形で残っていない化石ばかりではないため、あくまでも想像図なのだが、進化の過程はなかなか説得力を持って書かれている。


●「「海の民」の日本神話」 (三浦佑之著、新潮新書)

かつて、日本海側を「裏日本」と言った時代があったが、現在はそのような言い方はしないようだ。それはさておき、古代日本を「古事記」、「日本書紀」、「万葉集」、「風土記」などの文献や、考古学や人類学的視点で見ながら、ヤマトに制圧される以前の日本海側に息づいていた人々の姿を追った本であり、筑紫の海の民と朝鮮半島とのつながり、出雲・伯伎・稲羽に関わる神話、神や異界と接する但馬・丹後・丹波、境界の土地としての若狭や角鹿(敦賀)、そこから北へ向かう越前・越中・能登、そして女神がつなぐ高志と出雲など、古代人の足跡をたどりながら明かしていく。ヤマトの律令国家「日本」によって「裏」とされる前は、日本海側こそ「表」だったのである。


●「大胆推理! ケンミン食のなぜ」 (阿古真理著、亜紀書房)

土地土地の風土や文化や歴史を背景に、独自の「県民食」が生まれてくる。そこでは当たり前のように日常的に食べられていても、他の県では一般的でないものも多い。そんな「県民食」がどのように生まれていったのかを考察するのが、この本である。といっても、この本は学術書ではないし、気軽な食文化エッセイ集である。北海道の牛乳豆腐、岩手の三つの麺類、長野の蕎麦、浦和のうなぎ、金沢の醤油、名古屋の小倉トースト、大阪のミックスジュース、神戸のハードパン、広島のお好み焼き、長崎の和菓子、沖縄のポーポーとサーターアンダギー等々、個人的経験も踏まえての「大胆推理」にも、それなりに説得力があって面白い。


●「カーテンコール」 (筒井康隆著、新潮社)

以前、筒井康隆の作品をかなり読んだ時期があったが、最近はご無沙汰だった。2023年発行の新刊があるのを書店で見つけ、久しぶりに読んでみた。実はまだ現役バリバリだったのだ。25編の掌編小説が載っており、かつての作品のようなナンセンス感やドタバタ感はやや抑え気味ながらも、筒井作品のテイストは感じられる作品ではある。自身の書いた作品の主人公や、小松左京や星新一といったかつての盟友が病床の筒井を訪れる「プレイバック」という作品の最後の方で、あの頃を語れるSF作家は自分しかいなくなったので長生きするしかないと締めくくるあたり、そうなのだろうなと思ってしまう。この本の帯には、「これがわが最後の作品集になるだろう」と書かれているが、「信じていません!」(担当編集者)なんだろう。たしかにまだ出そう。


●「これでも、数学は生きているか?」 (しみずともこ/山下純一著、現代数学者)

2011年に「数学は燃えているか」というタイトルで出た本の、書名変更リメイク再出版とのことである。現代数学者の連載を再編した読み切りショート集であり、他の数学本とは違った視点もある興味深い話が多数掲載されている。「感受性をリセットする」の章では、純粋数学から数理科学へ数学界がシフトしていることや、従来の数学を超えた科学分野との関わりなどについて、「遊び心の数学」の章では、数学に関連したちょっと意外な話や数字遊びのような話題、「数学を生きる」の章では、何人かの数学者についてのエピソード的な話を、著者の個人的な接点も絡めて記す。最素の「過去からのこだま」の章では、数学史的視点から現代数学に通じるような話を記している。やはり数学は面白いのである。
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