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2022年12月18日17:45

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【読書】 最近読んだ本 備忘禄

最近読んだ本の、備忘的メモ。

●「川崎怪談」 (黒史郎著、竹書房文庫)

川崎市の各地に伝わる土地の因縁話を、膨大な資料や文献を蒐集し、聞き取り調査も行って集めた、地元川崎の怪談集である。市域には工場が多い、多摩川に沿っている、かつて極秘の研究が行われていた陸軍研究所があった、山林を切り開いて新たな住宅地が開発されていった等々、たしかに怪談の生まれそうな要素はたくさんありそうだ。掲載されている話の舞台となっている場所が分かるところも多いので、今後そこに行く際にはこの本に書かれていたことを思い出してしまいそう。怪談話は、荒唐無稽なものと笑い飛ばしてしまえばいいものだろうが、やはり何か引っかかるものがあるものでもある。


●「サルタヒコのゆくえ」 (戸矢学著、河出書房新社)

日本神話に登場するサルタヒコ。天孫降臨の道案内をし、アマノウズメを妻としたとされるが、実際のところはどうなのだろうかということを、史料を深く読み解きながら解説していく。サルタヒコはその姿から、天狗と重ねられることも多く、さらにアマノウズメとの出会いの場面から生殖器信仰に結び付いたりもしている。しかし、そもそもサルタヒコは一体どこから来たのかを考察していくと、渡来系海人族との関係、天孫降臨の本当の姿、そして伊勢神宮がサルタヒコにとって何を意味するのかが見えてくる。そこには古代王朝の秘密が隠されており、サルタヒコについて流布している通説は見当違いであることが分かるというのである。独特の視点で語る、興味深い古代史ミステリーである。


●「雨の科学」 (武田喬男著、講談社学術文庫)

気象学が専門の著者による、「雲をつかむ話」である。もちろん、捉えどころのない漠然とした話ではなく、そもそも雲はどのように形成されるのか、雨粒とはどのように生まれて、降ってくるのかを詳しく記したものである。雨が滝のようにつながって落ちて来ないのにも説明が付くし、雨が降りやすい雲と降りにくい雲も、違いがあるのだ。積乱雲がどのような過程で発生し消えるかも、詳しく説明されている。近年多発する集中豪雨のメカニズム、地域毎の雨の降り方の違いや、さらに温暖化の影響など地球規模の気候変動の問題についても述べている。ふだん何気なく見ている雨が降るという現象も、その仕組みを探求すれば奥が深いのである。


●「鬼むかし」 (五来重著、角川ソフィア文庫)

昔話に鬼が登場するものは多い。その鬼とはそもそも何なのか、どのようにして昔話に取り込まれていったのかを、仏教民俗学者の視点で考察した本である。鬼の原形は死霊と祖霊がイメージ化されたものと考え、死霊は人を喰う恐怖の存在である鬼になり、祖霊は恐怖とともに慈しみを持つ鬼となった。さらに、仏教の羅刹鬼や地獄の鬼、修験道の山伏や天狗などとも結び付いて、さまざまな鬼になっていったのだという。「おむすびころりん」、「こぶとりじいさん」、「桃太郎」など、誰でも知っている話に登場する鬼も、その原形を探っていくと、根底にある宗教的背景は浮かび上がってくるのだという。


学術的な本の読書が続いたので、ここらでエンタメ小説を。

●「信長鉄道」 (豊田巧著、ハルキ文庫)

昭和62年3月31日、国鉄最後の日。国鉄名古屋工場内では不穏な空気が流れていた。現場は民営化に反対する人が多かったのだ。そして0:00になり国鉄が終焉を迎えた瞬間、不思議な光が差し込み、気が付けば名古屋工場ごと、戦国時代にタイムスリップしていた。そこに現れたのが織田信長やその家臣たち。車庫にある見たこともない機関車に驚く。信長が今川義元を討とうと計画を進めていることを知ると、国鉄が提案したのが、桶狭間への路線の建設だ。最初は半信半疑だった信長も、鉄道の輸送力の効果を理解し建設が許可され、この鉄道によって奇襲攻撃が可能になって今川を討つことに成功するのだ。さらに、美濃侵攻の足掛かりにすべく、新たな路線を建設。こうやって、国鉄マンたちは、戦国時代に「信長の鉄道」を運営することで、歴史に関わっていくのであった...
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