今日は、午後は初台に行った。東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の演奏会に行くためだ。
プログラムは次のとおりである。
・ディーリアス(フェンビー編):2つの水彩画
・吉松隆:チェロ協奏曲「ケンタウルス・ユニット」
・ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第3番「田園交響曲」
指揮:藤岡幸夫/チェロ:宮田大/ソプラノ:小林沙羅
会場:東京オペラシティコンサートホール (14:00 開演)
会場に着くと、何やら貼紙がある。ソプラノの半田美和子が体調不良のため、小林沙羅に変更になったとのこと。久しぶりに半田美和子の声を聴きたかったので残念だが、小林沙羅なら代役としても十分だろう。昨日のリハーサルまではなんともなく、夜21:30に急に体調不良を訴え、急遽代役探しにあたったそうだ。こんな短時間でよく代役が確保できたと感心する。
さて、プログラムは藤岡幸夫の得意とする英国作曲家と吉松隆だ。藤岡スペシャルというような演目で、これは期待してよい。1曲目はディーリアスの「2つの水彩画」だが、これは、目も見えなくなり身体も自由が効かなくなったディーリアスの晩年を支えたフェンビーが、弦楽合奏版に編曲したものだ。ディーリアスの作品の、優しい穏やかな作風をそのまま弦楽に変えたもので、聴いていても実に心地よい。素敵な曲を素敵な演奏で聴くことが出来た。
続いては、チェリストの宮田大が登場し、吉松隆のチェロ協奏曲だ。この曲を生で聴くのは初めてだ。それもそのはずで、2003年に初演され、その後録音もされたが、それ以来久しぶりの演奏なのだそうだ。初演や録音は英国人ピーター・ディクソンがチェロ独奏を弾いたが、第2楽章のピッチカートで弾くところを「琵琶の音のように」と言われても、「Biwa? What?」だったらしい。今回は日本人なので、琵琶のようにと聞いただけで納得したという。
標題の「ケンタウルス」のような人馬神一体となったような音楽というか、ある意味混沌とした音楽というのが、最初にCDで聴いた印象だが、改めて生で聴いてもやはりそんな感じである。曲想は目まぐるしく変化するし、突然荒々しく大爆発したり、もう何がなんだか。第2楽章の琵琶のイメージは、実際本物の琵琶の音を生で聴いた記憶はないのだが、そのようなイメージはできる。最後はやや能天気な感じ(?)もする第3楽章で、派手に締めくくる。改めて聴いてみると、なかなか面白い曲だと思ったし、宮田大のチェロはさすがというべき演奏であった。
このあとは、チェロ独奏のアンコール演奏があった。何を演奏するのかと思ったら、素敵なメロディー。なんと宮沢賢治作曲の「星めぐりの歌」ではないか。宮田大編曲によるチェロ独奏版らしい。
休憩のあとは、ヴォーン・ウィリアムズの「田園交響曲」だ。指揮者が開演前に解説したように、ベートーヴェンの「田園」とは全く雰囲気の違う曲である。暗い感じもするし、淡々とした盛り上がらない曲で、眠くなる人も多いらしいが、藤岡幸夫いわく、「私は眠らせません!」ということで、実際聴いてみると、CDでは正直退屈だったこの曲が、実に素敵な曲に思えたのである。
第1楽章ではヴァイオリンやヴィオラのソロ、第2楽章ではホルンやトランペットのソロ、第3楽章ではフルートのソロなど、独奏楽器が目立つ箇所が印象的である。フルートのソロがどことなく日本風にも聞こえたのは気のせいか。第4楽章では、ステージ上部のバルコニー右側から小林沙羅が登場し、ソプラノのヴォカリーズで始まる。まさに天の声。これをイメージさせるために2階のバルコニーで歌うようにしたのだろうが、今日は2階席で聴いているので、同じ高さなのであった。1階席にすればよかったかな。あくまでも穏やかに気品高く音楽は進み、最後にもう一度ソプラノの登場だ。今度は左側から出てきて歌い、この曲を締めくくった。ソプラノの小林沙羅は、昨日の夜急遽代役に決まっての「一夜漬け」だったとは思えないほどの素晴らしいヴォカリーズであった。さすがである。
今日は雨水。そのとおり夜には雪ではなく雨となったが、雨水は春が近づくことを告げる日なのだ。そのとおり、春が近いことを感じられるような演奏会だったなと思った。
笹塚と京王稲田堤の間は、往復とも京王線の準特急に乗車した。日本唯一ここだけの変な種別である「準特急」も、来月のダイヤ改正で消滅する。今日は準特急の乗り納めかもしれない。そんな副産物もあった。
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