数学における「正規数」とは、無限小数表示において数字が一様に分布しており、数字の列が現れる頻度に偏りがないという性質を持つ実数のことをいう。
「ほとんど全ての」実数が正規数であることが知られているが、実際に正規数であることを証明するのは容易でないため、正規数であることが判明している具体的な数は非常に限られている。例えば、2の平方根、円周率、ネイピア数はそれぞれ正規数だろうと言われているが、それが正しいか否かはまだ証明されていない。有理数は循環小数となるので、正規数ではないことは明らかである。
具体的に正規数であることが分かっているのは、
・チャンパーノウン定数:0.1234567891011121314151617... (自然数を順に連ねたもの)
・コープランド-エルデシュ定数:0.235711131719232931374143...(素数を順に連ねたもの)
などがある。
何のことやらと思う人もいるかもしれないが、正規数の定義をよく見てみると、正規数の無限小数表示の中には任意の数字の列が現れるということが分かるはずである。どんな順序のどんな長さの数字の列でも、必ずどこかに現れるのである。
例えば、あなたの電話番号も必ずどこかに現れているのである。
さて、数字を文字に置き換えてみよう。なんでもいいが、たとえば「あ」=00、「い」=01、「う」=02、...のように、数字と文字を1対1で置き換えることが可能である。
すなわち、正規数の数字の列の中には、任意の文字列が存在することになる。「平家物語」だろうが、夏目漱石だろうが、松本清張だろうが、村上春樹だろうが、ありとあらゆる小説は、この中に含まれているのである。いや、それだけではない。どんな文章も、この中に必ずあるのだ。
あなたが小学校で書いた作文も、mixi で書いた日記も、この中に必ずあるのである。過去に書かれた文章だけではない。これから書くであろう文章も、すでに書かれているのだ。
何桁目に現れるかは分からない。宇宙が終焉を迎えるまで探し続けてもまだ見つからないかもしれないが、でも、必ずどこかにあるのである。
こんなことを考えると、数学って奥が深いなと思う。
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