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2013年09月14日21:32

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【散策】 武蔵野音大楽器博物館へ

先日、「国内最大級の楽器博物館が入間市に誕生」とのニュースを見た。武蔵野音楽大学(入間キャンパス)にある楽器博物館のことだ。江古田キャンパス内の楽器博物館のリニューアル工事に伴い、所蔵品を入間キャンパスに集約したとのことで、収蔵点数5400を超える日本最大の楽器博物館となったという。これは音楽好きとしては是非行ってみたい。毎日開館している訳ではないようで、週3回(火曜日、木曜日、土曜日)の公開となっている。今日は土曜日だ。

武蔵野音楽大学の最寄駅は西武池袋線の仏子である。普段は全く縁のない駅だ。武蔵野線新秋津駅から西武の秋津駅まで歩き、西武に乗り換えて仏子駅に向かう。大学のある側の南口は小さな改札で、駅前も静かな住宅地だ。かなり田舎の駅に来てしまったような気がする。

武蔵野音大は駅から坂を登って10分程度のところにある。坂の途中ですれ違った、おそらく武蔵野音大の女子学生と思われる人から、「おはようございます」と挨拶された。予期していなかったので、あわてて「あ、お、おはよう」などと返したが、どう見ても知っている人ではなかった。音大で教えている先生に見られたのだろうか。(だとすると、少しうれしい。自分は音楽家に見えるのか?)

武蔵野音大の前に着く。博物館は一般公開ときいているが、勝手に入っていいのかどうか分からない。守衛さんに博物館見学に来た旨を告げると、案内図を渡され道順を教えてくれた。門からさらに歩くようだ。実際、くねくね曲がった坂をさらに登り続け、ハイキング気分(?)だ。寮や附属高校の横を過ぎようやくたどり着いた。商業的な博物館ではなく大学内の施設を一般公開しているものなので、派手な外観もないし、もちろん無料で見学出来る。受付の人に声をかけると、「一般の方ですね。どうぞ」といってパンフレットを渡され、あとは自由に見ることが出来る。

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(西武線仏子駅)

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(楽器博物館の入口)

館内は、1階が鍵盤楽器と音楽絵、2階が邦楽器、3階が世界各地の楽器・蓄音機類となっている。1階に入って、まずはピアノなどの圧倒的な展示に驚く。貴重な楽器の数々が無造作に置かれて、すぐに弾けるような状態になっているのだ。もちろん、「楽器には触れないで下さい」との注意書きはあるが、鍵のかかったガラスケースに畏まって入れられているのではないのが素晴らしい。

ナポレオン3世にイギリスのビクトリア女王が結婚祝いとして贈ったピアノだという1853年製の「ナポレオン帽子型ピアノ」や、スウタンウェイ社の前身シュタインヴァーグがクララ・シューマンに贈呈したピアノなど、貴重なものまである。先客として来ていた女子学生は、「クララ・シューマンにあやかりたい」と、クララのピアノの前からしばらく動かなかった。ピアノを勉強している女子にとって、クララ・シューマンは憧れの存在であるのだろう。ピアノの形も様々で、見ているだけでも美しい芸術品だ。ピアノは、かつては金持ちの上流家庭にしか持ちえなかっただけに、優雅でさえある。音は全く鳴っていないのに、あちらでモーツァルトが貴族令嬢に弾き聴かせ、こちらではシューマン夫妻が仲睦まじく弾き合い、向こうではショパンが美しい旋律を奏でていそうだ。こういうのを見ていると、「ピリオド楽器」で演奏したくなるのも分かる。

1階には「音楽絵」も展示されている。I.J.ベルモントが、音楽と絵画の融合を目指して新しいジャンルを開いたという絵である。音楽の感じ方は人それぞれだし、ベルモントの抱いたイメージを絵にしたものではあるが、よく見るとなるほどと思うものもある。

2階は雰囲気が変わって邦楽器だ。箏、尺八、三味線、笙など、日本人の心に響く楽器である。これは、邦楽器研究家の水野佐平氏から寄贈されたものが多いという。かつてこの大学を訪れた水野氏が、邦楽器資料の不備を指摘するとともに貴重なコレクションを寄贈したことによるものだという。今は中学でも音楽の授業で邦楽器を教えることになっていると聞く。西洋音楽に偏りがちだった音楽教育だが、邦楽器にも触れることで、音楽の世界が広がることであろう。邦楽器の数々を見ていると、なぜか心が落ち着くこともたしかである。

3階は、世界の楽器の数々。アジアやアフリカの民俗楽器もあるし、もちろんヴァイオリンや各種管楽器など、ヨーロッパの楽器もある。アドルフ・サックスが考案したサクソフォーンも、当時の貴重な楽器が展示してあるし、フルートやクラリネットなども、素朴な楽器からだんだんと「進化」していった様子が分かるように並べてある。フルートをやったことのある自分としてはフルートの展示には特に見入ってしまった。ここがこうなってああなって、今の楽器でこうなっていると、勝手に納得した気になってしまう。なお、2階と3階は、1階の鍵盤楽器と違いガラスケースに収まった展示も多い。

3階を見学中に、小学生のグループが入ってきた。これは賑やかになるかと思ったら、みんな静かにガイドの説明を聞いている。「こども音楽大学いるま」のバッジを付けており、音楽家の卵になるかもしれない小学生のようだ。ついでに、ガイドの説明を小学生といっしょに聞いたりして、少し得した気分になる。「触れないで下さい」と書かれていたはずだが、実際にガイドが音を出してみせ、小学生も触れて音を出している。やはり楽器は音を出さないとただの飾り物になってしまう。もちろんガイドの許可で触っている訳で、勝手に触ってはいけないけれど。

小学生グループとほぼ合流して、再び1階の鍵盤楽器へ。目玉はやはりクララ・シューマンのピアノのようだ。「シューマンはまだみなさん習っていないかもしれませんが、モーツァルトやベートーヴェンなどと同じ、有名な作曲家で、クララはシューマンの奥さんです。すぐれたピアニストで、小説や映画にもなっているからよかったら見て下さいね」と、ガイドが小学生に説明する。小学生がガイドの許可のもとでクララのピアノを弾いたので、私もちょっとだけ触らせてもらった。ここでシューマンの作品でもさらりと弾ければ格好いいのだが、ピアノは弾けないので、2〜3回音を鳴らしただけである。(もっとも、長々と曲を弾いたりしたら怒られると思う。)

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(楽器博物館1階 (鍵盤楽器))

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(クララ・シューマンのピアノ)

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(楽器博物館1階 (鍵盤楽器))

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(楽器博物館2階 (邦楽器))

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(楽器博物館3階 (世界各地の楽器))

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(楽器博物館3階 (管楽器))

館内に客も増えてきたようだが、空いている午前中にゆっくり見ることが出来た。まだまだ見足りない気はするが、きりがないので出ることにする。見学中に少し雨が降ったようだ。明日から明後日にかけて台風が上陸する可能性があるとのことでやや心配になるが、今日はまだ大丈夫なはずだ。雨はほとんど止んでいたので、ゆっくりと歩いて帰る。

すでに正午を過ぎているので、駅までの坂の途中ある唯一の店「やまなか」という軽食堂で食事とする。ちょっと落ち着いた感じで、音楽大学の学生にも合いそうな雰囲気の店だ。食事メニューはカレー、ピラフ、オムライスぐらいしかないので、オムライスを注文する。食後のアイスコーヒーとともに赤いジュースのようなものまで持ってきた。何かと思ったら「サボテンの実ジュース」だという。ウチワサボテンの実のジュースだそうで、おそらく生まれて初めて飲むが、ほどよい甘味と酸味で、意外と美味しいものであった。

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(坂の途中の「やまなか」)
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