折角クラシック音楽を愛好しているのだから、より多くの曲を聴きたいと思う。
だから未知の作曲家、未知の作品を初めて聴く時はワクワクする。
予備知識もなくCD屋でなんとなく手にとって、「これは良さそうな気がする」と思って買ってきたのを聴いたときに、「当たり」だった時はうれしい。最近、結構打率が高い気がする。
今回はハンス・ロットの交響曲を紹介したい。
○ハンス・ロット(1858-1884):
・交響曲 ホ長調
(L.Segerstam指揮ノールヒェピング交響楽団:1992録音)
ハンス・ロットは、上記の生年からも分かるように、なんと26歳(正確には誕生日を迎える前)の若さで亡くなっている。
よって作品の数も少なく、ほとんど忘れ去られていた作曲家ではないだろうか。
私もこのCDを手に取るまでは全く知らなかった。
ウィーンで生まれ、あのブルクナーに学んだ。学友のマーラーとは親しかった。
卒業の年に交響曲ホ長調の第1楽章を作曲コンクールに出すが、ブルックナー以外の審査員はこの作品の価値を認めず、嘲笑さえする人もいる始末。
それでも第4楽章まで完成させて、なんとか演奏してもらおうと掛け合うが全く相手にされず、ブルックナーと仲の悪い(?)ブラームスなどは「才能がないんだからやめちまえ」とまで言ったらしい。
こんなこともあって、ロットは次第に精神を病んでしまい、失意のうちに短い生涯を閉じ、数少ない理解者であるブルックナーらに見送られウィーンに葬られた。
ということで、どんな曲か聴いてみたくなるではないか。
全体の印象としては、やはりというか、ブルックナーとマーラーとブラームスを足して、ワーグナーで味付けしたような曲である。師匠であるブルックナーの影響が見られるのは当然かもしれないが。
第1楽章は、夜明けの場面のようなトランペットによる幕開けで始まり、次第に盛り上がっていく。ワーグナーの「タンホイザー」に似たような部分が聞こえるのは気のせいか。ブルックナーとワーグナーを一緒に聴いているような感じである。
第2楽章は、出だしの弦による哀愁漂う旋律が美しい。このあたりはブラームスの交響曲の緩徐楽章を聴いているような雰囲気がある。後半はブルックナーっぽくなってくる。
第3楽章は、おやおや、出だしはマーラーの「巨人」第2楽章そっくりではないか。おいおい、マーラーは実は友人の作品をパクッっていたのか。この楽章は全体にどの部分を取ってもマーラーっぽく聞こえてしまう。実はロットの遺産をマーラーが引き継いだといえば言い過ぎか。
第4楽章は24分以上ある長い楽章だが、これは見事にブラームス。出だしはブラームス第1番第4楽章の冒頭のピッチカートに似ている。さらに、あのブラームス1番の超有名主題に酷似した旋律が登場する。こりゃブラームスは怒るわな。
きっと、ロットはブラームスを尊敬していたんだろう。習作時に尊敬する作曲家の作品を真似てしまうのはよくあることだ。曲はこのままクライマックスを迎え、最後はワーグナーっぽくなって、華々しく感動的に終える。
面白い曲だし、もっと長生きしてくれたら、きっともっといい作品をたくさん残したに違いないという気がする。
ブラームスも、実は作品の中に才能を見い出して嫉妬していたのかもしれない。
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