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2025年11月19日20:04

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「眩(くらら)」応為の生涯

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葛飾北斎の娘である女絵師、応為(お栄)は、偉大な父の背中を追い、絵の道を志す。
料理や家事など女らしいことはまるでせず、身だしなみも気にせず、夫に離縁され、母親に小言を言われ、素行の悪い甥に悩まされながら、ゴミ屋敷のような家で父の仕事を手伝う。

先日観た映画「おーい、応為」の中では、兄弟子の渓斎英泉こと善次郎とはあくまで友達関係で、善次郎に迫られた彼女が邪険に振り払うシーンがありましたが、本書の中では恋愛関係になっていて、かなりの分量で登場しました。
といっても、”女に喰わせて貰ってこっちは寝床でとことん尽くす”男である善次郎は、沢山の女と浮名を流し、挙句は他の女と結婚してしまうのですが。

その善次郎が早逝してしまうシーンは映画にも出て来ましたが、本書の方が何とも切ない。
”善さん、最後の頼みだ。お願いだから、ちっとばかり待ってておくれでないか。やだよ、逝かないで。
(中略)思い返せば、よくよく騒がしい男だった。口数が多く、草笛だの口笛だの、始終何かを鳴らしていた。頼みもしないのに、お栄を励まし続けた。
嘉永元年7月22日、渓斎英泉こと池田善次郎、死んじまう。
そう呟いてみた。
けれどまだ信じられない。何年、間が空いたって、いつだって「よッ」と訪ねて来てくれる。勝手にそう思い込んでいた。あたしはほんに、無様な女だ。何もかも間に合わない”

本書の中では善次郎との淡い恋愛以外、お栄は男と付き合うこともなく、絵師として有名になる訳でもなく、それでも生涯を絵に捧げるカッコイイ女です。
最後、60歳になっても一人者の彼女を心配して、実弟が家に引き取ってくれるのですが、どうにも窮屈でそこを飛び出すところで終わっています。
「あたしは絵師だ。筆さえ握れば、どこでだって生きていける」と。
この表紙は、光の表現に優れ、「江戸のレンブラント」とも称された応為の代表作とされる「吉原格子先之図」です。


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