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2024年10月06日20:30

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【読書】 最近読んだ本 備忘禄

最近読んだ本の、備忘的メモ。

●「多元宇宙論集中講義」 (野村泰紀著、扶桑社新書)

多元宇宙(マルチバース)論について、分かりやすく解説した本である。「最新宇宙論が3時間でわかる」という本らしい。そもそもマルチバースとは何かから始まり、「確率的に同時に存在する」という量子力学的考え方や、量子力学と一般相対性理論を結び付ける「超弦理論」などを解説する。そして、我々の宇宙の物理法則は、なぜ人間に都合よくできているのか、そういったことを考えていくと、どうしてもマルチバースの考え方に至るのである。真空のエネルギー密度が理論値よりも120桁も小さいことも分かった。ビッグバン以前の宇宙誕生直後におきた「インフレーション」が、実はマルチバースの存在を予言していたという。いわば泡宇宙が無数に生まれているのだ。でも、我々は親宇宙を見ることはできない。我々の宇宙より過去にあるからだ。サイエンスはSFエンタメよりもはるかに「ぶっ飛んでいる」のである。


●「日本鉄道廃線史」 (小牟田哲彦著、中公新書)

かつて存在したが現在では廃止されている鉄道路線は多い。この本は、鉄道廃線を背景や経緯から解説し、さらに現在新たに巻き起こっている廃線議論の行方を探っていこうというものである。鉄道廃線がある程度まとまって始まった最初の事例は、戦時における不要不急路線の廃線だ。観光要素の強い路線などが対象となり、レールや車両の金属が軍事用途に転用された。戦後復活した路線もあるが、そのまま廃線となったところもある。国鉄時代には赤字83路線の問題が浮上してくる。ただし、赤字だからといって簡単に廃止には出来なかったのだ。それが、民営化されたことにより、廃線にするためのハードルが低くなった。被災した路線が、そのまま復旧することなく廃線となった例も多い。そんな中、施設を自治体が所有する、いわゆる上下分離方式で再生したり、地域輸送以外に活路を求めたりと、存続を図った路線もある。


●「イマジナリ―・ネガティブ」 (久保(川合)南海子著、集英社新書)

プロジェクションという認知科学の概念があるが、これは自分の内的世界を外部の事物に重ね合わせる心の動きのことをいう。そんなプロジェクションのネガティブな一面に焦点を当てて解説した、いわば「こころの闇」について述べた本である。世界を見たままにとらえるのが通常の投射とするなら、そこにないものを今ここにあるものに映し出す異投射、見えないけどある虚投射など、そういったものがもたらす功罪はいろいろある。具体的には霊感商法、オレオレ詐欺、陰謀論、事故物件から、アイドル推しや、風評被害まで、いろいろな事例を見ることができる。すなわち、他者から操作されているプロジェクションなのである。そして無意識のプロジェクションが我々を深く悩ませることになるのだ。しかし、プロジェクションはポジティブな効果ももたらす。それは我々をより豊かにし、生きる力を推進してくれるものでもある。


●「和算」 (小川束著、中公選書)

和算というのは、江戸時代に日本で独自の発展を遂げた数学のこと。関孝和や建部賢弘といった和算家の業績は世界的レベルに達していたのである。明治になって西洋の数学が入ってくる前は、もちろん今使われているような数学の記法ではなく、独自のものであったが、その内容は広くて深いのである。「塵劫記」がベストセラーになり、社会全体に数学が広まっていった。この本は、まずは「塵劫記」の内容を紹介し、関孝和の数学や、関流などの代表される流派のこと、そして建部賢弘の数学思想や、さまざまな流派とその広がりについて述べる。さらに、一般の人々にも数学を解く楽しみが広がり、「算額」を神社に奉納するなど、趣味としての数学が広まっていったことを述べる。当時このような高度な数学文化を持つ国は日本くらいしかなかった。実際に「算額」にて奉納された解放を現代数学の視点で解説し、この部分は数学書らしくなる。やがて明治になって西洋数学の記法が入ってきて現代に至るのであるが、それ以前に日本国内で高度な数学が発展したことは、もっと知られてもいいことだ。


●「地名の魔力」 (今尾恵介著、PHP研究所)

惹きつけ、惑わす、不思議な力、それが地名の魔力である。特定の地域の地名だけに使われる漢字、同じ地名を表すのにまちまちな表記、もはや由来が分からなくなるほどに変化した地名、これは「田舎くさい」地名が別の字に変わったりすることもある。自治体同士が合併すると、対等合併であることに拘るあまり、「無難な地名」が生まれたりもする。東京の由緒ある地名も消えたものは多いが、駅名や施設の名前に残っていたりして、実はかなり残っているものもあるのだ。地名から、その土地の文化や風土など、さまざまなことを知ることができるわけで、やはり地名は奥が深い。地名は所在地を表す日用品であると同時に、無形文化財としての側面も持っているのだ。その両面を認識して次世代につなぐことも重要だと締めくくっているが、全く同感である。
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