mixiユーザー(id:12784286)

2022年11月18日20:05

103 view

【読書】 最近読んだ本 備忘禄

最近読んだ本の、備忘的メモ。

●「山窩奇談」 (三角寛著、河出文庫)

定住せず、川べりに「セブリ」を作って、蓑作りなどを生業としつつ放浪生活をしてきたという山窩。古くからの慣習を尊び、独特の掟を守ってきた彼らを、昭和の初期に取材して、「普通人」との関わりや、山窩の周囲で起きた事件について伝えるのがこの本であり、原本は1966年に刊行された。「サンカ」は浮浪者や犯罪者と同義に扱われることもあり、差別的な用語とされている。著者はもともと朝日新聞の記者で、のちに「サンカ小説家」と呼ばれるようになるが、小説家という言い方がされるように、書かれたものは必ずしも正確なルポルタージュではないらしい。要は虚実交えた創作だ。一般の「山窩」のイメージの多くは三角が創作したものだというのが現在の結論のようだが、その「実」の部分に日本人の原像を見出すことができるのかもしれない。


●「時間とはなんだろう」 (松浦壮著、講談社ブルーバックス)

実感はあるのに実体がない不思議な「時間」というもの。その時間の本質を捉えようと、物理学の視点から振り返ってみたという内容の本である。ガリレオやニュートンの時代に確立された古典力学では、力と質量と加速度の関係が明確になり、やがてアインシュタインによる相対性理論へと発展していく。光速不変の理論によって、時間が誰にでも同じように流れる訳ではないということが導かれる。そして、「時空」という考え方が出てくる。光とは波なのか粒子なのか、電磁波とは何なのかについて述べたあと、ミクロに視点を移すと、結局全ては量子場で出来ているのだということに。時間とは、空間・物質・力を含む巨大な構造の一部である「量子重力」と見ることで、さらに将来何かが見えてくるかもしれないということである。


●「日本神話はいかに描かれてきたか」 (及川智早著、新潮選書)

日本神話は「古事記」や「日本書紀」に書かれているが、そこに登場する神々がどのような姿をしていたかについては書かれていない。神話に登場する神々は、江戸時代中期以降、さまざまな媒体に描かれるようになっていくが、「記紀」の記述と明らかに異なっているものも多いのに、イメージが定着していく。そして、イザナミ・イザナミが結婚式の神になったり、スサノオが退治するのが大蛇ではなく龍になったり、イナバの白兎のワニがサメになったりする。サルタヒコとアマノウズメは夫婦神になり、神武天皇や神功皇后のイメージも作られた。そういえば、子供の頃は神話の物語の絵本をよく読んだ記憶があるが、今はそういう絵本はあまりないのだろうか...


●「宇宙を動かしているものは何か」 (谷口義明著、光文社新書)

星は輝き、銀河は動き、ブラックホールが形成され、そして宇宙は膨張している。これらを動かすエネルギーは何だろうかという話である。現在、すべての「力」は四つ、重力、電磁気力、強い力、弱い力に集約されることまでは分かっている。これ以外の力は存在しない。宇宙を動かす「エンジン」もこれだけで、星の内部で発生する熱核融合によるエンジン、ブラックホールが動力源として働く重力エンジン、磁場の力を借りつつ強力な放射やジェットを出す電磁気エンジンだけなのである。四つの力について詳述したあと、原子の世界の力やブラックホールについて解説していく。なんだか似たような内容の本ばかりな気がするが、この分野は(詳しくないが)興味はあるので、つい読んでしまう。


●「聖夜のおでん」 (山口惠以子著、ハルキ文庫)

「食堂のおばちゃん」シリーズの第12作。前作を読んでからしばらく経った気がする。いつものとおり、佃にある「はじめ食堂」とそこの常連客たちの、ちょっとした出来事の料理に絡めたストーリーで、「初夏のサラダ祭り」、「鰻で乗り切れ」、「たまごのキノコ」、「うどんと名月」、そして標題作の「聖夜のおでん」の5話からなる。ずっと「はじめ食堂」で働いていた万里は独立のために修行で日本料理屋に行くことになり、代わりに新しい人が入ったのは前回まで。でも、今回の主役は常連客の康平と瑠美だ。ついに結婚するかと周りも気になるが、どうもなかなか進展しないのである。そして、アクシデントもまた人生の糧になっていくのだ。
1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2022年11月>
日 月 火 水 木 金 土
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930