表紙のこの写真を以前、SNSで見た時には戦慄を覚えました。
全裸の男たちを積み上げ、その向こうで若い男女が笑っている。
説明によると、これはイラクのアブグレイブ収容所で、積み上げられているのは捕虜たち、男女はアメリカ兵であると。
その時何が起きたのか、その後これに関わった人たちがどうなったのかを書き上げたのが、本著です。
著者は日本人のジャーナリストで、アメリカにもイラクにも何度も足を運び、元テロ対策特別補佐官、CIAの工作員となったビンラディンの関係者、虐待を告発した兵士、この写真に写っている兵士たち、そしてカーピンスキー元准将などにインタビューをする。
本書には、もっともっと酷い虐待の様子の描写が、これでもかと登場します。
殴打、蹴り、電気拷問、レイプ、全裸にして撮影、自慰の強要、犬用の皮ひもを巻いて引きずる、軍用犬に襲わせる…
(本書から)
捕虜の権利を認めるジュネーヴ条約を無視した、このような暴挙はなぜ起きたのか?
その多くの証言から、この虐待はこれら下級兵士たちだけの暴挙では決してなく、その背後にある、テロの容疑者には人権はないと断じた軍、国家の姿勢にあると著者は言います。
しかし軍は「腐ったリンゴ」としてこの写真に関わった7人に懲役6ヶ月から10年の罰を与え、それで終わりとする。
この写真を内部告発した兵士については、ラムズフェルド国防長官がその名前を、全国民へのスピーチで暴露するのです。
”それは恫喝と制裁、報復以外の何ものでもなかった”。
(本書から)
去年、キューバのグアンタナモ収容所での虐待を描いた映画「モーリタニアン黒塗りの記録」を観ました。
グアンタナモ収容所で14年間収容されていたという、モハメドゥ・スラヒの手記を原作に描いた社会派ドラマ。
そこでも正視に耐えない拷問がこれでもかと。
アメリカの恥部、しかしそれを世に知らしめなければいけないという、映画に携わった人たちの良心と使命感が伝わったことだけが救いでした。
アブグレイブでもグアンタナモでも、似たようなことが起きていたのね…
アメリカの恥部「モーリタニアン 黒塗りの記録」
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1980885531&owner_id=547825
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