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2022年07月02日21:26

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【音楽】 ラ・コリーマ ピアノデュオ・リサイタル

相変わらずの猛暑だが、その暑さのピーク時間帯にわざわざ出かけていく。「ラ・コリーマ」のピアノデュオ・リサイタルを聴きに行くためだ。「ラ・コリーマ」は、昨年5月に結成デビュー記念リサイタルを聴きに行っている。それ以来約1年ぶりだ。吉田朝子と山田磨依によるデュオで、パリ留学時代に出会ったことが切っ掛けで結成した。キタキツネ(吉田)とネコ(山田)。お互いに演奏スタイルは違うと言いつつも、それが見事に融合した演奏となるデュオなのである。

今日のプログラムは次のとおりである。

 ・ボロディン:ダッタン人の踊り
 ・ラフマニノフ:前奏曲Op.23-4
 ・ラフマニノフ:練習曲「音の絵」第1番
 ・ラフマニノフ:ロシア狂詩曲
 ・ダマーズ:献呈
 ・ダマーズ:タランテラ
 ・ダマーズ:鐘
 ・ガーシュイン:パリのアメリカ人
 ・ガーシュイン:ポーギーとベスによる幻想曲

   演奏;ラ・コリーマ (吉田朝子/山田磨依)
   会場:加賀町ホール (15:30 開演)

加賀町ホールは初めて行くが、地下鉄大江戸線の牛込柳町駅から迷うことなくたどり着いた。ただし、「加賀町ホール」の文字が書かれた幟のようなものが一つ出ているだけで、知らずに通り過ぎてしまいそうにもなる。中は80人ほどで満席になる小さなホールだ。

デビューリサイタルでは、プーランク、デュカス、シャミナード、ラヴェルの作品が演奏されたが、今日はロシアとアメリカをメインに、山田磨依には欠かせないダマーズが加わるというプログラムである。

まずは、ボロディンから。ボロディンの作品の中でも最高傑作といってもいい「ダッタン人の踊り」は、もともとオペラの中の1曲だが、これだけ独立して演奏される機会も多い。今日はそれを2台ピアノ編曲版で聴くのである。どの部分をどちらが弾いているのか、ステージと会場が近いのでよく分かるのだが、各舞曲が2台ピアノ版ならではの絡みで展開し、息の合った二重奏で、最初から素敵な幕開けであった。

ここで山田による挨拶と解説トークが入る。このあとの演奏は、吉田のソロでラフマニノフを2曲である。美しい旋律の「前奏曲」、ちょっと荒々しい「音の絵」。それぞれの作品の持ち味を出した演奏であった。この次もラフマニノフだが、今度は2台ピアノの曲である。ラフマニノフが18歳の時の作品だ。この演奏の前に吉田による解説が入るが、やはり「今この状況でロシアの作曲家の作品を演奏するのはどうかということも悩みました」という話になってしまう。しかし、「ラフマニノフもロシアからアメリカに亡命し、祖国に帰ることはなかったが、やはり望郷の思いはあった。まだロシアにいた若い頃の作品に、平和への思いを込めて」ということで、プログラムから外すようなことはしない。ロシア民謡をベースにしつつも、ラフマニノフらしい色合いが出ている素敵な作品を、これも息の合った演奏で聴かせてくれた。

休憩のあとは、山田のソロでダマーズだ。山田といえばダマーズ、ダマーズといえば山田。山田磨依に出会わなければ、私もダマーズの作品を知る機会はなかったかもしれない。爽やかな感じの「献呈」、ちょっとユーモラスな「タランテラ」、そして鐘の音の美しい響きを思わせる「鐘」。完全に山田と一体化しているようなダマーズ作品だけに、もうこれは何も言うことはない。

このあとは、ガーシュインである。「パリのアメリカ人」は有名な曲で聴く機会も多いが、今日はピアノ連弾版である。今日のプログラムでは、この曲のみ「2台ピアノ」ではなく「1台ピアノの連弾」であった。演奏前に、タクシーのクラクションの説明があり、その部分だけピアノで弾いてみせて、「この部分が聞こえたら、タクシーのクラクションだなと思って下さいね」という。この部分が胆なのか? トークも2人ともすっかり慣れて(デビューリサイタルでは、緊張していた感じだったが)、時々笑いも誘いながら、楽しく進めていた。「パリアメ」をピアノ連弾で聴くのは初めてだと思うが、これがまた実に面白く、管弦楽版の魅力を損なうことなく、息の合った2人のピアノで見事に表現された演奏であった。

さて、最後は今日のメインプログラムである「ポーギーとベス」による幻想曲だ。グレインジャーが、歌劇「ポーギーとベス」の中から10曲を選んでピアノ連弾版に編曲したもので、全部で20分ほどの演奏時間だ。「ラ・コリーマ」史上最長演奏時間の曲だそうである。3時間のオペラを20分に凝縮して楽しめるということで、吉田によるストーリーの説明があり、それぞれ冒頭部分を山田が弾いて聞かせた。イメージを持って聴きやすくなるが、有名な「サマータイム」のところは、山田の弾いたごく短いピアノに「え、そこだけ?」と吉田の突っ込みが入り、また笑いを誘っていた。

演奏が始まると、最後までストーリーごとの場面が目に浮かぶような素晴らしい演奏であった。もともとお上品な曲ではないように作られているが、いきなり激しくガンガン鳴る序曲からして圧倒されてしまい、「サマータイム」が一種の清涼剤にようになるが、やはりヨーロッパのオペラとは全く違うことが、ピアノ2台版だけでもよく分かるのである。20分の曲がオペラ全部を聴き終えたような充実したものとなり、演奏後に吉田が「ああ、楽しかった」と言ったのが印象的だった。「この曲を練習する過程で、2人の絆がより深まったと」は山田の言葉。「ラ・コリーマ」の2人にとっても、この曲は大きな意味があったようだ。

最後に、アンコールとして、ビゼーの「子供の遊び」から2曲(「ギャロップ」と、もう1曲は名前失念)演奏して、素敵なデュオリサイタルを終えた。

会場を出る際に2人に挨拶。演奏の感想と次回も期待していることを、短く伝えた。
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