寒い日が続くが、今日は江東区住吉にコンサートに行った。ラスベート交響楽団の定期演奏会である。
今日のプログラムは次のとおりである。
・ベートーヴェン:フルート二重奏曲WoO26
・モーツァルト:「バスティアンとバスティエンヌ」より序奏
・ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
・グラズノフ: 交響曲第5番「英雄」
指揮:小久保 大輔
会場:ティアラこうとう大ホール (14:00 開演)
ラスベート交響楽団は、グラズノフの作品をメイン・レパートリーとするオーケストラで、すでに交響曲は全曲を一通り演奏していたと思う。今日の演奏会も、もちろんグラズノフの作品はあり、ベートーヴェンとともに「英雄交響曲」の聴き比べというプログラムである。
少し早めに会場に行き、もらったプログラム冊子を見ると、事前に見ていなかった曲が2つ入っている! これは「プレ・コンサート」として、本番開演前に演奏されるようだ。知らなかっただけに得した気分である。まだ人の出入りでざわざわしている状態だが、フルートの2人が登場し、早速演奏が始まる。フルート二重奏曲って「アレグロとメヌエット」のことかなと思っていたら、そうだった。この曲は楽譜も家にあるはずだし、自分も吹いたことがあるが、生で演奏を聴くのは初めてだろう。フルート2本だけの曲って、意外と珍しいかもしれない。フルートの2人の演奏も素晴らしかった。
続いては、小編成のオーケストラのメンバーが現れてモーツァルトの歌劇の序奏だ。指揮者もなく、立ったままの演奏だ。おそらく初めて聴くが、今日のプログラムの前座になんでモーツァルト?と思っていたら、演奏が始まってすぐに分かった。ベートーヴェンの「英雄」にそっくりな旋律が出てくるのだ。ベートーヴェンがこの曲を知っていた可能性はほとんどなく、偶然似ただけだという。「天才が作り出す主題はこうも相似するものか!」という事例らしい。
さて、いよいよ演奏会本番だ。まずはベートーヴェンの方からだ。ちなみにどちらの「英雄」も作品55である。冒頭のジャッ、ジャッ、がきれいにビシッと決まった。これで安心して聴ける。このオーケストラは、奇を衒うようなことはしないし、必要以上に派手に鳴らしたりもしないが、要所はきちんと抑えた演奏をする印象が前からあったが、今回もそのとおりであった。それでは面白みがないかというと、そんなことは全くなく、ベートーヴェンの「英雄」のような、何度も聴いて馴染んでいる曲でも、また新鮮に感じるのである。特に第2楽章は、葬送行進曲だからといって暗く沈むような演奏ではなく、しっかりと行進するような感じで、印象的だった。
休憩のあとは、グラズノフの「英雄」だ。ベートーヴェンのような特定の英雄−といっても最後は怒ってナポレオンへの献呈をやめたのだが−をイメージした曲ではなく、「ベートーヴェンにも通じる堂々とした作品」ということで、やはり聴けば紛れもなくグラズノフなのである。この演奏も、冒頭のゆったりとした力強い序奏が響くと、たちまち引き込まれていった。グラズノフの「英雄」は猛々しい英雄ではなく、温厚ながらもしっかりと意志を持ったような英雄といったイメージだろうか。今日改めて聴いて、そんな印象を持った。(個人の勝手な感想である。) やはりグラズノフらしいのは緩徐楽章で、第3楽章が実に素敵だ。そして最後は大きく盛り上がるのもグラズノフ。演奏も、グラズノフをメインにしているオーケストラだけあって、内容の濃い素晴らしい演奏だったと思う。
最後にアンコール演奏があるようだ。美しいハープが鳴って、ああこれはチャイコフスキーの「くるみ割り人形」だ。その中の「パ・ド・ドゥ」である。こちらも素敵な演奏であった。
外に出ると相変わらず寒いが、いい音楽を聴いたあとは気持ちよく帰れる。
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