梅雨の真っただ中で、連日の雨である。昨日は神奈川や静岡の海沿いはとんでもない雨量となり、熱海の伊豆山では大規模土石流が発生した。終息が見えないCOVID-19に加えて自然災害と、欝々とした日々だ。こんな日は音楽でも聴いて気分を紛らわすのがいちばん良い。
そんな訳で、今日の午後は荻窪にラスベート交響楽団の演奏会を聴きにいった。ラスベート交響楽団は、グラズノフをメイン・レパートリーとしている東京のアマチュア・オーケストラであり、ほぼ毎回聴きに行っている。
プログラムは次のとおりである。
・リムスキー=コルサコフ:「ロシアの復活祭」序曲
・グラズノフ:組曲「ショピニアーナ」 (改訂版)
・ブラームス:交響曲第3番
指揮:小久保大輔
会場:杉並公会堂 (14:00 開演)
このオーケストラはグラズノフの交響曲はすでに全曲を複数回演奏しているので、最近は交響曲以外の管弦楽作品を取り上げているようだが、なかなかマニアックな選曲なこともある。今日の「ショピニアーナ」も、あまり知られているとはいえないかも知れない。
座席は自由席となっているが、万一感染者が出た時のためにと、名刺サイズの入場者カードが配られ、氏名、連絡先、席番号を書いて回収するようになっている。指定席でない演奏会の対策もきちんと行っているのだ。みんな自然と間をあけて座っており、密状態も避けている。
さて、1曲目はリムスキー=コルサコフの「ロシアの復活祭」だ。これがお祭りのドンチャン騒ぎの曲かと思ったらそうではなく、神聖な雰囲気の音楽なのである。「受難の土曜日の陰鬱で神秘的な雰囲気から、日曜日の朝の楽しい集いへの気分の移り変わり」を表現したそうで、そんなところもお気に入りの曲である。このオーケストラは、過剰表現になったり、必要以上に派手に鳴らしたりすることを避けつつ、要所を押さえてしっかりと演奏するイメージがあり、今回もそういうスタイルが好ましい演奏になっていたと思う。
続いては、「ショピニアーナ」だ。これは、要するにショパンの作品をグラズノフが管弦楽に編曲したもので、「あまり知られていない」と書いたが、聴いてみれば知っている曲だというものなのである。ポロネーズ第3番(軍隊ポロネーズ)、ノクターン第4番、マズルカ第32番、ワルツ第7番、タランテラの5曲から成っているバレエ音楽である。手持ちのCDでは4曲だったのでおや?と思ったら、ワルツはあとか加えたのだそうで、それで「改訂版」である。
依頼主のフォーキンは、気に入らないところがあったのか、のちに一部をグラズノフ以外の編曲で他の曲に入れ換えてしまい、さらにそれをロイ・ダグラスが再編曲した「レ・シルフィード」となって、現在の形になっており、もはやグラズノフのオリジナルは忘れ去られてしまっているのだ。しかし、そこはグラズノフを偏愛するオーケストラ、取り上げるのはグラズノフの「ショピニアーナ」なのである。ショパンの耳に馴染んだ曲が、豊穣な響きの管弦楽になっており、聴いているだけで楽しい曲である。原曲はショパンなのに、どことなくグラズノフの響きも感じられ、なかなか面白い。
後半はブラームスの交響曲第3番だ。メインプログラムがおまけのようになってしまうが、もちろん大好きな曲だし、しっかりと聴かせてもらった。やはり、ブラームスの交響曲は何度聴いても飽きることがない。冒頭に書いたような欝々とした気分を、すっきりとさせるのにも相応しい曲ではないだろうか。第3楽章も変に甘ったるくなり過ぎないよう、きっちりと演奏しているところも好ましかった。
演奏会が終わっても雨は降り続けていたが、コンサートの帰りはいつも気分は晴れやかだ。
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