今日は、オペラシティにピアノ演奏を聴きに行った。北田法子さんのリサイタルだ。
プログラムは次のとおりである。
・ベートーヴェン: ピアノソナタ第13番
・ベートーヴェン: ピアノソナタ第14番
・ラヴェル: 夜のガスパール
ピアノ: 北田法子
会場: 東京オペラシティ・リサイタルホール (14:00 開演)
ベートーヴェンのピアノソナタは、クラシック音楽を聴き始めた頃から馴染んでいるが、生で聴いた記憶がほとんどない。もしかしたら、全くないのではないか。いや、「月光ソナタ」だけは聴いたことあるような気もするがいつだったか、というような状態であった。それなら、じっくりと聴きに行こうと思ったのである。ピアノはすでに何度か演奏に接している北田さんだ。北田さんに会うのは、8月初めの「ステーンハンマル友の会」以来、1ヵ月半ぶりだ。
ベートーヴェンの第13番、第14番の2曲のソナタは「幻想曲風ソナタ」と名付けられている。第14番の方は「月光ソナタ」という名前も付けられて、よく知られているが、第13番は意外と地味かもしれない。
時間になり、北田さんがピアノの前にすわり、少しの間をおいて(精神統一?)、演奏が始まった。冒頭がゆったりとした感じで入り、様々に展開しながら、最後の第4楽章まで切れ目なく続く。「よく知っている曲でも新鮮に聞こえるような演奏」というのが、これまでの北田さんの演奏の印象だが、なるほどこうやってじっくり聴いてみると、細部にわたっていろいろ面白く聴けた。その印象がより強かったのは第14番で、有名な第1楽章からして、いわゆる「月光」という題名にとらわれがちなイメージは一旦リセットして、「幻想曲風ソナタ」に立ち返って弾いたようで、激情の第3楽章に至る一連の流れを聴きながら、「耳が聞こえなくなった絶望感と戦いながら勝利へと突き進んで行った」というのが、分かるような気がした。改めて、この曲の深さを知らしめてくれたような演奏であった。素晴らしい。
休憩のあとは、ラヴェルの「夜のガスパール」だ。「オンディーヌ(水の精)」、「絞首台」、「スカルボ」の3曲からなり、こちらはまさに幻想的な曲だ。前半のベートーヴェンから雰囲気が一変する。北田さんの師でもある和田記代さんの演奏でも聴いた記憶がある(CDもある)ので、子弟の演奏聴き比べがかなった訳だが、やや不気味で幻想的な雰囲気を十分に漂わせつつ、しっかりと全体をまとめて、好ましい演奏であった。
最後に短いトークがあった。来年はベートーヴェン生誕250年なので、ベートーヴェンが盛り上がりつつあるが、今回はそれを意識した訳ではなく、あとで気付いたことや、ベートーヴェンよりはラヴェルの方が好みだという話をして、ベートーヴェンとラヴェルは弾き方からして全く違うが、そのあたりの違いを聴いていただけたならうれしいと締めくくった。
アンコールは、モーツァルトのピアノソナタ第4番の第1楽章であった。この曲はCDでは聴いているはずなのに、第4番と聞いてすぐにメロディーが浮かばないという体たらくだったが、そこは北田さんのピアノに聴き入る。モーツァルトのピアノソナタは、どれを聴いてもすっと耳に入るのは、やはり名曲なのだろう。
演奏会を終えて出る際に北田さんに挨拶すると、「来てくれたんですか!」と、やけに喜ばれた。「ステーンハンマル友の会」の演奏会のような珍しい曲ばかりで、まさかベートーヴェンを聴きにくるとは思われなかったようだ(?)。
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