日照時間の異様に少ない7月だが、下旬になってようやく夏らしくなってきた。やはり、夏は夏らしくないといけない。そして、暑い夏は北欧の音楽がよいのである。そんな訳で、「雄大なる北欧3大協奏曲」と題する、神奈川フィルハーモニー管弦楽団の演奏会に行ってきた。
今日のプログラムは次のとおりである。
・ニールセン: フルート協奏曲
・グリーグ: ピアノ協奏曲
・シベリウス: ヴァイオリン協奏曲
指揮: 石崎真弥奈/フルート: 上野由恵/ピアノ: 田村響/ヴァイオリン: 堀米ゆず子
会場: みなとみらいホール (14:00 開演)
夏休みということもあってか、人の多い横浜である。少し早めに横浜に行って適当にブラブラしてから、みなとみらいホールに向かう。「北欧3大協奏曲」ということで、どれも北欧作曲家の協奏曲としては有名な作品だが、実はニールセンのフルート協奏曲は、生で聴くのは初めてだ。シベリウスのヴァイオリン協奏曲は、これまでに何度聴いたか数知れずだが。今日は指揮者もソリストも若い人で、最後にベテランの堀米さんが締めるというプログラムになっている。
ニールセンのフルート協奏曲は、小編成のオーケストラである。インパクトのある激しい冒頭部分に続き、フルートがすぐに入ってくる。上野さんのフルートは、聴いていても心地よい素直な音だ。フルートの音は、時にはオーケストラの音に埋もれてしまいがちだが、そこはうまく抑えて、フルートを引き立たせているのも見事だった。石崎さんの指揮も初めてだが、今回はソリストが主役ということなのか、目立つことはしないで、地味にサポートしているという印象だった。フルートも、自然に流れるという感じで(結構難しい箇所もあるのだろうけど)、もともと素朴な楽器であるということを印象付けてくれるような演奏であった。
このあと、上野さんのソロでアンコール演奏があった。同じデンマークの作曲家、カール・ヨアヒム・アンデルセンの24の練習曲より第3番だ。フルート吹きにはお馴染みの練習曲である。こちらも素敵な演奏であった。
続いては、グリーグのピアノ協奏曲だ。オーケストラは少しだけ人数が増える。冒頭が強烈なインパクトの協奏曲だが、そこだけではない。冒頭部分や盛り上がる第3楽章に比べて忘れがちな第2楽章が、実に美しいのである。ピアノが入る前にオーケストラだけで奏でられる第2楽章が素敵だった。そして、田村さんのピアノも、外見に似合わず(?)繊細で美しい音なのである。オーケストラとピアノが実に見事に溶け合って、素晴らしい演奏であった。田村さんは若手ながら堂々たる風格を持った実力派のピアニストといわれるが、たしかにすごいと思う。
その田村さんもアンコール演奏があった。今日はソリストがそれぞれアンコールをするようだ。北欧シリーズで行くのかと思っていたら、なんとショパンの「華麗なる大円舞曲」だった。12月にオール・ショパン・プログラムのリサイタルが予定されており、会場でもチケットを販売していたが、その宣伝を兼ねた演奏か。「こんなに素敵なショパンですよ」とアピールするに十分な演奏だった。
休憩のあとは、大御所の堀米さんが登場して、シベリウスのヴァイオリン協奏曲だ。これは素晴らし過ぎた。「名演というのはこういう演奏をいうのよ」と示しているようである。冒頭のヴァイオリンが入るところからして、オーケストラをも圧倒し存在感を見せつける。ヴァイオリンの音ってこんなに鳴るものなのかと思うくらい、よく響く。この曲は難曲であり、結構苦しそうに弾いているなという演奏にも時々出会うが、今日の堀米さんの演奏は、そんな箇所でもなんでもないようにさらりと弾いてしまい、もう完璧としかいいようがない。個人的な好みで、ここはこのように弾いてほしいという箇所も、どういう訳かほぼそのとおりに弾いているように聞こえるから不思議。オーケストラだけが演奏している箇所は、身体で小さくリズムを取りながら、時おり指揮者に合図をしているように見え(私が勝手にそう思っているだけだと思うが)、完全に主導権は堀米さんのようだ。ベテランの貫禄十分の演奏であった。
堀米さんもアンコール演奏。すでに「北欧シリーズ」ではないことは分かっているが、やはり北欧ではなく、バッハの無伴奏パルティータ第3番よりガヴォットであった。こちらも、自然に流れるような演奏で、協奏曲での盛り上がりをクールダウンさせて、演奏会の終了である。
実力あるソリストによる素晴らしい演奏と、その演奏を引き立たせるオーケストラで、楽しい演奏会であった。演奏会終了後に外に出ると、少し風が出てきたようだ。台風が関東に近づいてきているので、明日は荒れるかな?
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