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2018年07月01日21:49

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【音楽】 オーケストラ・ニッポニカ演奏会 〜アカデミズムの系譜

6月中に梅雨明けし、すでに夏本番に突入している関東地方。今日もかなり暑いが、良い演奏会があれば家にこもっていては勿体ない。まさに暑さのピークの時間帯に四ツ谷に向かう。オーケストラ・ニッポニカの第33回演奏会である。

今日のプログラムは次のとおりである。

 ・池内友次郎: 交響的二楽章
 ・貴島清彦: 祭礼囃子による嬉遊曲
 ・島岡譲: 前奏曲とフーガ ト短調 (林達也による管弦楽新版)
 ・矢代秋雄: チェロ協奏曲
 ・野田暉行: 一楽章の交響曲

   指揮:野平一郎/チェロ:ルドヴィーク・カンタ
   会場:紀尾井ホール (14:30 開演)

今日のプログラムは「アカデミズムの系譜」という副題が付いている。池内友次郎がフランス留学から持ち帰り、日本に根付かせた体系的な作曲教育を引き継いだ作曲家の作品ということで、言い換えれば「池内友次郎の系譜」プログラムということである。そのような細かいことには個人的にはあまり関心なく、個々の作品が楽しめればいいとは思っているが、こうやってまとめて聴いてみると、やはりある種のつながりのようなものは感じられた。

今回のプログラムでは、矢代秋雄のチェロ協奏曲以外は初めて聴く作品であり、日本人作曲家の作品も、十分に聴けていないことを痛感するのであった。(だから、日本人作曲家の作品が聴ける演奏会には出来るだけ行きたいと思っている。)

演奏順は作曲家の年齢順でもある。ただし今日演奏される作品の作曲順とは一致しない。

まずは、池内友次郎の交響的二楽章からはじまる。少し変わったタイトルだが、英語表記は「Symphony of 2 movements」であり、すなわち「交響曲」である。ティンパニに乗せてトランペットが序奏を奏で、次々と展開していく。聴いていてすんなり耳に入る素敵な作品だ。演奏会は好調な滑り出しだ。

次の貴島清彦の作品は、タイトルから想像されるように祭りがテーマである、東京の祭囃子である。冒頭は、和笛の雰囲気を出したフルート独奏で始まる。これが実に素晴らしい。この間、指揮者は棒を下したままである。全体にフルート、ピッコロ、打楽器が主役であり、ピアノも絡んでくるという曲で、これは聴いていても愉しい。ああ、日本の夏だなあと、今の季節にぴったりの曲である。

続いては島岡譲の「前奏曲とフーガ」である。元のオーケストラ譜は紛失しており、ピアノ譜だけが残っていたので、島岡氏の系譜につながる作曲家の林達也氏が新たに管弦楽新版をおこしたのが、今回の演奏である。これが、また日本的というか、ところどころ「演歌」のように聞こえる部分もあり(?)、なかなか良い感じである。初めて聴く曲ばかり3曲続いたが、日本的雰囲気を感じる素敵な曲ばかり続き、本当に楽しい演奏会だ。

このあとで、島岡譲さんが客席にいるというので紹介された。92歳のご高齢なので、ステージまで上がっていくのは遠慮されたが、客席で立って挨拶されると、会場からは盛大な拍手がおこった。作曲家の方が素晴らしい作品を作ってくれたからこそ、こうやって演奏会で聴くことが出来るのだ。島岡さんに感謝の拍手である。

休憩のあとは、矢代秋雄のチェロ協奏曲である。これはCDでは聴いていたが、生で聴くのは初めてである。これがまた実に素晴らしい。CDではよく分からないところも、じっくりと聴くことが出来て、名曲の名演にひたることが出来た。冒頭のチェロ独奏が結構長く続くが、ここで完全に引き込まれた。激しくティンパニが入り、そのあとチェロとオーケストラが掛け合いながら展開していく。チェロを支えるアルトフルートもこれまた美しく、改めて名曲であることを認識した。チェロ協奏曲の定番として、今後も演奏され続けることを願いたい。

締めは野田暉行の交響曲である。これは初めて聴く曲だが、やはり名曲であると思った。これまでの4曲の作品とも通じるようなところがあるように、たしかに聞こえた。冒頭は打楽器に乗せてチェロのみがしばらく奏でて、ヴィオラ、第2ヴァイオリン、コントラバス、第1ヴァイオリンと拡大していく。打楽器に乗せたソロ楽器の冒頭、このあたりが今日のプログラムにほぼ共通しているようだ。この作品は野田暉行が22歳の時の作品で、作品1という番号が付いている。それでこの充実度は素晴らし過ぎる。プログラムに書かれた野田さんの寄稿には「この作品をまさか一生に二度も聴けるとは思わなかった」とあるが、日本人作曲家の作品は、一度演奏したらそれっきりというのが実は多いのではないか。事前にこの文章に目を通したので、背筋を伸ばしてきちんと聴かねばならないと思った。本当に貴重な演奏なのだ。

野田さんも会場に来られていた。まだ78歳と若い(!)ので、すたすたとステージに上がってきて挨拶された。もちろん会場からは盛大な拍手である。野田さんは野平さんを指して、「演奏したのはこちらですから、拍手は指揮者とオーケストラに」と言っているようだし、野平さんは「この素敵な作品を作ってくれた野田さんに拍手を」と言っているように見えた。作曲者と演奏者と客席の一体感を感じる場面である。

日本人作曲家の作品を演奏し続けるオーケストラ・ニッポニカ。このあとも魅力的な演奏会は続きそうである。

このあと、四ツ谷から新宿までゆっくりと歩いていった。演奏会のあと気分がいいと、電車に乗らずに歩いてしまう。

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