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2018年06月29日20:42

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【読書】 最近読んだ本 備忘録

最近読んだ本の備忘的メモ。

●「旅人 ある物理学者の回想」 (湯川秀樹著、角川文庫)

見知らぬ土地の遍歴者であり、荒野の開拓者である旅人。その人の名は、日本初のノーベル賞受賞者である物理学者の湯川秀樹博士。この本は、湯川博士が自らの前半生を振り返った自伝である。少年時代は無口で読書好き、中学では完全に文学少年だった。高校に入り、数学では抜群の才能を開花させ、友人の「小川君はアインシュタインのようになる」(注:小川は湯川博士の旧姓)という一言で理論物理学への道を進む。ちょうど物理学が大きな飛躍をしはじめていた時期である。京都での生活を、家族や学校や友人等にも触れながら、その様子をいきいきと描き、偉大な物理学者の一面を身近に感じることができる好書である。


●「辞書から消えたことわざ」 (時田昌瑞著、角川文庫)

ことわざというのは、人間の有様やら人生訓やら、あらゆる事象を絶妙なる言い回しで表したもので、日本には五万以上あると言われている。そのことわざも、時代とともに変化したり使われなくなったりしたものも多数ある。ことわざ研究の第一人者が、そんなことわざを集めたのがこの本である。しかし、掲載されたことわざを見ると、現代には通用しないものはほとんどない。一つ一つがなるほどと思うものばかりで、これは使ってみたいと思うものも多い。もっとも、使っても相手に意味が通じなければ仕方ないが、聞けばなるほどと思ってくれるだろう。ことわざが使いこなせれば、言葉はもっと豊かになると思う。


●「小田急沿線ディープなふしぎ発見」 (浜田弘明監修、実業之日本社)

小田急沿線にちなむ、マニアックでディープなネタの数々を紹介している本である。といっても、小田急線とは半世紀の馴染みの私には、すでに知っている話も多数だが、改めて読んでみると面白い。帯にあった「町田駅は本当の町田にない?」は、町田市民には常識だ。「遠くに行くばかりが旅ではない」という名言があるが、地元鉄道の沿線を歩いてみると、意外な発見があるものである。私でも、この手の本なら1冊くらい書けそう?


●「羊と鋼の森」 (宮下奈都著、文春文庫)

以前から読もうと思いつつ、そのままになっていたが、文庫版が出たのでようやく読んだ。素敵な小説を読んだなあという読後感であった。ピアノには無縁だった高校生が、たまたま学校で案内した調律師の仕事に惹かれ、自身もピアノ調律師になる道を選ぶ。音楽の素養がある訳でもなく、ピアノも弾けない地味な青年が、調律師の先輩たちや、双子姉妹の高校生などと接しながら、調律師として、そして人間として成長していく。調律師の仕事は決してピアノの音程を直すだけではない。ピアノの音そのものを作っていくのだ。ピアノを弾く人、ピアノを弾く場所に一番ふさわしい音を求めて、北海道の森で育った青年は、調律という「森」に深く分け入っていくのであった。


●「高座のホームズ」 (愛川晶著、中公文庫)

昭和時代の落語界にまつわるミステリー(?)小説である。元噺家である浅草の寿司職人と客との会話から、思い出話へとつながっていくというストーリーで書かれており、「天災」、「初天神」、「写真の仇討ち」、「浮世床」といった、お馴染みの落語と少しマニアックな(?)落語を織り交ぜて、「事件」が語られる。一つ目は正月の高座のあとに師匠が何者かに襲われた障害事件、二つ目は二つ目の噺家自身が起こした色恋沙汰。そんな話が持ち込まれ、見事な推理で解決するのは、「稲荷町」こと八代目林家正蔵(彦六)である。もちろん本書はフィクションだが、昭和の良き時代の落語界が生き生きと描かれ、実に面白い。そのまま落語ネタにもなりそうな話だ。木久扇あたりが林家正蔵(彦六)の声色を交えて演ってくれないかな。
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