今日も演奏会に行った。アイノラ交響楽団の定期演奏会である。アイノラ交響楽団は、シベリウスの作品を中心に演奏している東京のアマオケである。
今日のプログラムは次のとおりである。
・伊福部昭:オーケストラとマリンバのためのラウダ・コンチェルタータ
・シベリウス:音詩「エン・サガ」
・シベリウス:交響曲第3番
指揮:新田ユリ/マリンバ:山本勲
会場:杉並公会堂 (14:00開演)
今日のプログラムは「北方の舞踏」という副題が付いているが、いわゆる舞踏音楽という訳ではないし、プログラムを見ただけでは謎である。その上、今日はシベリウス以外の作曲家の作品が入っている。北欧ではなく、我が国日本の作曲家である。「シベリウスしかやらない訳ではないよ」ということだが、これまでは北欧作曲家の作品が時々加わっていた。邦人作曲家は初めてだ。
その伊福部の「ラウダ」から始まる。この曲は生でも何度も聴いている。今日のマリンバ独奏は、このオーケストラの打楽器奏者である山本勲氏であり、アマチュア奏者としてはおそらく最大の、3回目の「ラウダ」ということである。(過去2回の山本氏の「ラウダ」も聴いている。)
「ラウダ」については今さら説明するまでもない。マリンバとオーケストラという作品の可能性を高め、マリンバをメジャーにした曲といえるだろう。冒頭のオーケストラの部分から良い感じで入り、マリンバの独奏が入ると、完全に伊福部の世界だ。最初に山本氏の「ラウダ」を聴いた時には、「アマチュア奏者でよくここまで出来る」と感動したが、もう3回目だし安心して聴ける。「ラウダ」は演奏のたびに毎回違う音楽になるそうで、それは「もしマリンバのソノリティが十分でない場合は、2度・4度・5度・8度の低音を追加iしてもよい」とスコアに書いてあるそうだが(初めて知った)、同じ音を弾いても、都度表情の違いがあるという。確かに何度も聴いているはずなのに、新鮮に聞こえる部分がある。ちょっとテンポを緩めた箇所もあったようだ。見事な演奏だ。
後半は、このオーケストラの主であるシベリウスである。「エン・サガ」は日本語にすると「ある伝説」ということか。フィンランドの伝統文化の宝庫であるカレリア地方の民族芸術をぎゅっと詰め込んだ作品ということで、20分ほどの曲の中に、様々な表情が浮かび上がる。フィンランドの民族に根差した作品である。ここだ! 日本の民族に根差した作品を、「芸術とは民族の特殊性を通過して、共通の人間性に到達しなければならない」とう信念のもとに生み出していった伊福部昭と通じるのだ。今日のプログラムは、決して統一感のないものではないのだ。全く違う作品でありながら、実はどこかで通じるものがある伊福部とシベリウス。そんなことを聴きながら思った。クラリネットのソロの箇所も良かった。最後は静かに消え入るように終わり、余韻を残して会場の拍手。
最後はシベリウスの交響曲第3番である。これも何度か聴いている曲だが、何度聴いても良い。シベリウスが田舎に移り住んで最初に手掛けた交響曲が第3番で、そのためか「ネイチャーって感じ」(プログラムの解説による)の濃い作品である。聴いていて落ち着くような曲である。そう感じさせる演奏でもあった。第2楽章のちょっと物悲しい雰囲気も好きなのだが、ふとこの部分が寂し気な「踊り」のようにも聞こえ、今日のテーマが「舞踏」であったことを思い出す。(でも、オーケストラ側が意図した「舞踏」は、ここではないかな。)
シベリウスを中心に演奏しているオーケストラである。演奏のレベルが十分であることは今さら書く必要はない。作品そのものに浸ることが出来る。
このあとはアンコール演奏がある。シベリウスの舞踏間奏曲「パンとエコー」である。ああ、ここで舞踏曲が出てきた。新田さんが「珍しい曲」と紹介したが、確かに生で聴くのは初めてかもしれない。題名からも分かるように前半はフルートが活躍、最後は盛り上がって終わる。最後はいつものアンコール曲「アンダンテ・フェスティヴォ」で、落ち着いた雰囲気に戻して、演奏会を終えた。
今日も素敵な演奏会だった。
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