今日は横浜にコンサートに行った。最近、横浜に行くことが多いような気がする。神奈川県で閉じた生活か。今日はNHK交響楽団の横浜定期演奏会である。
プログラムは次のとおりである。
・ハイドン: 交響曲第85番「王妃」
・細川俊夫: ソプラノとオーケストラのための「嘆き」
・メンデルスゾーン: 交響曲第3番「スコットランド」
指揮:シャルル・デュトワ/ソプラノ:アンナ・プロハスカ
会場:横浜みなとみらいホール (14:00 開演)
同じプログラムで、すでに東京での公演が終わっているが、平日の公演だったので休日の横浜公演に行くのである。神奈川県民だし、横浜がよい。
今日の目当ては細川俊夫の「嘆き」である。2013年の作品で、もちろん初めて聴く。初演の際にもアンナ・プロハスカの独唱だったらしい。
結論から言えば、今日の演奏会は、その「嘆き」に尽きる。これが聴けただけでよかったと思う。テキストは27歳で自殺したという詩人ゲオルク・トラークルが、死の1週間前に書いた手紙と、その頃に書いた詩「嘆き」である。ドイツ語なので、聴いていても言葉は分からないが、何か迫ってくるような、魂の奥底から絞り出すような声が、細川の音楽と融合して、凄まじい作品になっていた。
冒頭の打楽器で独特の雰囲気で始まる曲は、しばらくオーケストラが鳴ったあと、唐突にソプラノが、歌ではなく朗読を始める。そして歌になるのだが、オーケストラが鳴ると歌が埋もれてしまうような感じがした。そういう風に書かれているのかもしれないが、それが却って不気味な雰囲気だ。第一部の「手紙」が終わると、太鼓とボンゴによる連打が始まる。この打楽器だけで演奏される時間が、なんとも不可思議な雰囲気を作りだしている。続いての「嘆き」では、突如として絶叫に近いような歌になり、オーケストラも強奏するが、後半は歌がきちんと聞こえるようになった。このあたりは、プロハスカの歌う「嘆き」とオーケストラが、互いにぶつかり合いながら昇華していくような感じであったといえようか。
最後は消え入るように終わり、5秒くらいの間があって拍手。最後まで緊張感が途切れることなく、聴き終わった時には、ある種の疲労感と虚無感と、そのあとに来る救いのようなものが一度に来た。今日はこの1曲で十分だ。
前後するが、最初のハイドンも、後半のメンデルスゾーンも、正直やや退屈してしまった。ハイドンの交響曲を生で聴く機会は少なく、たまにはいいのかなと思うが、小編成のオーケストラで演奏される第85番「王妃」(プログラムには「女王」と書いてあったが、La Reineの訳としてはどちらもあるな)は、可もなく不可もなくという感じで、なんとなく流れていた感じ、メンデルスゾーンの「スコットランド」も、先月別のオーケストラで聴いた時の方が、私の好みに合っていた。その時は、スコットランドのどんよりとした空をイメージさせる出だしだったが、今日の演奏は雲の間から晴れ間が覗くような、明るいスコットランドであった。デュトワらしいということなのだろうか。
演奏する方も、集中力を細川の「嘆き」に集約させた感じで、ハイドンとメンデルスゾーンは、手慣れたレパートリーだしさらりと流した、といっては言い過ぎだろうか。決して駄演ではなかったと思うが、きちんとまとまっているだけの、何か物足りない感じがしたのは、細川作品の印象が強すぎたからだろうか。
余談だが、今日は遅れて2曲目から会場に入った客が多かった。これは横浜を通るJR線がずっと停まっていたためだろう。終演後も出口のところに、「現在のJRの運転見合わせ状況」が掲出されていた。まだ動いていないらしい。架線破断事故が原因だという。
さて、年内のコンサートはこれで最後かな。気が向いたら、もう1回くらい行くかもしれない。
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