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2017年06月25日20:49

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【雑記】 万能辞書

ある出版社が、どんな事でも載っている「万能辞書」の発刊を計画した。その辞書は、アルファベットを用いて書かれる全ての文字列が収められる。

すなわち、A、AA、AAA、AAAA、...に始まり、これが無限個続くと、次にABが来て、ABA、ABAA、ABAAA、...と続くのである。文字の数がいくつになろうと、その文字列が意味をなしていようといまいと、どのような文字列でも全て掲載され、しかもただ一度だけ現れるのである。単語だけではなく、文章も一連の文字列と見なすことによって、この辞書の中に必ず現れるのである。たとえば、This is a pen. という文は、THISISAPENという文字列で表される。文字列の長さには制限はないので、あらゆる文章や記事がこの辞書には掲載される。そこには未知の病気の治療法や、革命的な科学技術、さらには宇宙の根源そのものの記事まで、すでに載っているであろう。

出版社は、Aで始まる文字列を集めたものを第1巻、Bで始まる文字列を第2巻とし、全26巻構成とすることとした。しかし、あまりに膨大な編集作業であることに気付き、手間を省くために、第1巻は全てAからはじまることは分かっているので、最初のAを省略して掲載することにした。第2巻も同様に最初のBを省略する。

出版社はさらにあることに気付いた。最初の文字を除けば、あとの文字列は全て同じである。表紙以外は全く同じ辞書が26巻も出来てしまう。それならばと、1巻だけを発行することにした。さらに最初の文字がAで始まるところ第1章、Bで始まるところを第2章と、26章構成にすることにした。ここで、各章の最初の文字を除けば、各章は全く同一内容であることに気付いた。それならば、中身は第1章だけで十分だ。さらに最初の文字別に26節に分けることにすると...。

この作業が無限に続くことに気付いた出版社は、ついに万能辞書の出版を断念した。
「万能辞書」の分割は、同じ内容の「万能辞書」を無限に再生産するだけである。
(イアン・スチュアートによる)

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