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2017年05月20日21:37

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【音楽】 愛深きブラームスの世界

初夏の5月である。5月といえばブラームスだ(?)。今日は初夏を通り越して夏本番も近いような暑さだったが、室内楽を聴きに行った。ヴァイオリニスト荒川以津美さんの呼びかけで、「ブラームスの室内楽をやろう」と東京藝術大学の同期仲間が集まった、Kompanie Brahms による、3回目の「愛深きブラームスの世界」と題する演奏会である。今回のテーマは「音楽家たちの出会い〜ウィーン」である。

プログラムは次のとおりである。

 ・クライスラー:ベートーヴェンの主題によるロンディーノ
 ・ブラームス:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第1番「雨の歌」
 ・ドヴォルザーク:ヴァイオリンとピアノのための4つのロマンチックな小品
 ・ブラームス:クラリネットとピアノのためのソナタ第1番

   荒川以津美(Vn)、山中直子(Vn)、日比野裕幸(Cl)、井上さゆり(Pf)、
   本多昌子(Pf)、島田三津起(Pf)、鷺谷宰(Pf)
   会場:汐留ベヒシュタインサロン (15:00開演)


プログラムはブラームスを中心に、毎回のテーマに沿った作曲家の作品が加わる構成となっている。今日の1曲目はクライスラーである。ウィーンといえばクライスラーという訳で、山中さんと本多さんによる「ベートーヴェンの主題によるロンディーノ」である。あまり馴染みのない曲で、もしかしたら初めて聴くかもしれないと思っていたが、始まってみるとどこかで聴いたことあるような気がしてきた。標題にあるようにベートーヴェンの旋律を用いており、原曲は「小ロンド」(WoO41)であるという。こっちの方を聴いたことがあったのかもしれない。クライスラーというよりベートーヴェンという感じだが、まずはいい感じで始まった。

ピアニストが井上さんに代わり、山中さんのヴァイオリンで、続いて「雨の歌」である。演奏の前に山中さんによる、この作品とクララ・シューマンとの深い関わりについての解説があった。ブラームスのヴァイオリンソナタ第1番は「雨の歌」という副題が付いているが、雨にもいろいろあり、その時の気分でいろいろな雨がイメージできる。もちろん、演奏によっても感じ方が変わるだろうが、今日の「雨の歌」は、外は快晴の空で気温もかなり高いこともあってか、じめじめした雨ではなく、ざっと降ってカラッと気持ちいい夏の雨のように聞こえた。何度も聴いていて耳に馴染んでいる名曲だが、そうやって気分を変えて楽しんでいるのかもしれない。もちろん何度聴いても飽きることはない。

休憩のあとは、ドヴォルザークだ。荒川さんと島田さんによる演奏で、その前に2人よる解説だ。ドヴォルザークは、ブラームスに出会わなければその後作曲家としての道は歩まず、家業の肉屋を継いでいたかもしれない。そうなれば「新世界より」も生まれなかった訳だし、きっかけは大事だなと思う。「4つのロマンチックな小品」は大好きな曲だが、もともとドヴォルザーク家に下宿していた学生とその教師のために書かれた作品だとは知らなかった。メロディーメーカーのドヴォルザークらしい素敵な作品で、短いながらも充実した4曲だ。荒川さんのヴァイオリンもいつもながら素晴らしく、4つの作品のキャラクターをうまく弾き分けていて、それぞれ楽しめた。ところで、荒川さんの解説によると、1曲目の「カヴァティーナ」はJR東日本のCMにも使われた曲らしい。しかし、TVをほとんど見ないので、そのCMは記憶がない。

最後はブラームスのクラリネットソナタ第1番だ。今回よりクラリネットの日比野さんが新たにメンバーに加わった。鷺谷さんと組んでの演奏だ。この曲ももちろん演奏者による解説から始まる。ブラームスの作品1のピアノソナタにも現れるバッハのコラールの旋律。これが晩年のこの作品も再び現れ、ブラームスの原点回帰のような作品であるという。今までそんなことを気にしたことはなく、よく知っているはずの曲でも、新たな発見があるものだ。その解説を受け、生演奏で聴くのは初めてなこともあってか、CDでは何度となく聴いているはずなのに、新鮮に聞こえた。やはり生で聴くのはよいものである。

今日のテーマはウィーンだが、今日のメンバーで実際にウィーンで過ごした経験があるのは日比野さんだけらしい。その日比野さんに、鷺谷さん、荒川さんを加えて、アンコール演奏の「ウィーン、わが夢の町」で締めくくった。アンコール演奏も良かった。日比野さんのウィーンの思い出をしみじみと表したような感じ(?)の演奏であった。

アンコールのあとは、お待ちかねのワインである。荒川さんが主催する演奏会にはアルコール類は付き物だ。今日のワインは、白が「ゲミシュター サッツ 2015」、赤が「ハインリッヒ レッド 2013」である。(プログラムにもワインの説明がある。最初からワイン付きの演奏会なのである。) それぞれ1杯ずついただいた。

ワインを飲みながら、演奏者や客たちと懇談する。知らない人ばかりで困るということにはならず、同じ演奏を楽しんだ同士で盛り上がるのである。そのうち、1年前にも会っていますよね。そういえば何となく記憶がある、というようなことになり、荒川さんにより、「みんな、先日の永福町にも来てたんですよ」って、1ヵ月前にも会っていたのか。こういうサロンコンサートは、大体固定メンバーになっていくものだな。

いい音楽とワインで気分良くなって、ゆっくりと会場をあとにした。
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