不定期に書いている、読んだ本の備忘録。
●「ハンガリー音楽の魅力」 (横井雅子著、東洋書店)
リスト、バルトーク、コダーイの3人を軸に、ハンガリー音楽について書かれた本である。ハンガリーを離れ「中央」で音楽家として成功しながらも、「祖国」に思いを寄せ、ジプシー楽団をハンガリーを代表する音楽としたリスト、そうではなく、ハンガリーに根付いた民謡があるのだと、それを収集し研究したバルトーク、人間の声は最高の楽器であり、歌こそがハンガリー音楽の基本だとして、その可能性を追求したコダーイ、三者三様のハンガリー音楽観である。この3人の作品は、あまり多くは聴いていないが、これを機会にもう少し聴いてみようと思う。
●「「快速」と「準急」はどっちが速い?」 (所澤秀樹著、光文社新書)
快速と準急、急行と快速、それぞれどちらが速いかと聞かれても、鉄道会社によりまちまちであるとしか答えようがない。上位の種別が停まる駅を下位の種別が通過したり、途中で種別が変更されたり、その路線に乗り慣れていない人には、列車種別は複雑怪奇なことこの上ない。列車種別の他にも、列車名、直通運転など、鉄道はとかく「ややこしいこと」ばかりだが、それらを分かりやすく(?)書いた本である。
●「潮流」 (今野敏著、角川春樹事務所)
今野敏氏の警察小説を久しぶりに。「ゲオルギー・マルコフ事件」を真似たような殺人事件が起こった。傘に仕込んだ毒入り金属球を撃ち込まれたのだ。調査を進めていくうちに、管内で過去に起きた事件が引っ掛かった。犯人はすでに服役中だが、これが冤罪であって、それを世に知らしめるために仲間がやったのだとしたら...。警察の上層部、記者など複雑に絡み合いつつ、少しずつ解決の糸口がつかめてくる。警察の面子か真実か...
●「人生に美を添えて」 (大村智著、生活の友社)
北里研究所と女子美術大学、一見関係なさそうな2つは密接につながっている。北里はいわゆる「ヒーリング・アート」の先駆けであり、仕掛け人はあの大村智博士だ。大村氏は科学者としての顔の他に、美術愛好家としての顔もあり、この本にも芸術家たちとの交流や、韮崎大村美術館誕生の経緯などが書かれている。先日、大村美術館には行ったが、合わせて読むとよい本である。本業一筋もいいが、本業以外にも何かを究めている人は魅力的である。本業が疎かでは論外だが、本業でノーベル賞受賞なら文句はなかろう。
●「電気は誰のものか− 電気の事件史」 (田中聡著、晶文社)
電気を使う生活が当たり前になって久しいが、改めて電気は誰のものかと問われると、答えるのは難しいかもしれない。この本は、電灯が普及しはじめた頃の、電灯事業をめぐる村と事業者との争い、電灯が初めて灯った村の人たちの騒動、対立する電力会社間の仁義なき戦いなど、明治から戦後までの電気をめぐるさまざまな「事件」について書かれたものである。今から見れば滑稽な「事件」も多いが、現在においても決して無関係な話ではないかもしれない。
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