HADEWIJCH
6.5/10
ブリュノ・デュモン監督・脚本
ジュリー・ソコロウブスキ カール・サラフィディス
ヤシーヌ・サリム ダヴィド・ドゥワエル
裕福な家庭に生まれ、父親との仲が上手くいっていないこと以外は、
何不自由なく暮らしているはずの女性セリーヌ。
しかし彼女にとっては神への愛がすべてで、周囲の人間との関わりは希薄。
断食など過度な苦行にまでのめり込み、ついには修道院の側がドン引きして、
彼女を世俗へ戻してしまうほど。
そんな彼女がイスラム教徒の男性たちと出会い、彼らの語る絶対的な信仰、
殉教、自己犠牲、神のためにすべてを捨てるという姿勢に強烈に感化され、
やがておかしな方向へと進んでいく。
信仰について考えさせられる一本。
人を救済するのは神なのか、人間なのか。人間による救済すら神が仕向けたものなのか。
映画は答えを出さない。そもそも「神の意図は人間には理解できない」
と言われてしまえば、それ以上の問答は堂々巡りになってしまう( かねがね神の
問答はレスバなのではと思ってる。)のだが、
普段あまり考えることのない「信仰とは何なのか」に考えを巡らせるのも悪くない。
また『ハデウェイヒ』は2009年の作品で、ISIS(イスラム国)が欧州の
若い女性をいわゆる「ジハード花嫁」として引き寄せた現象が
大きく注目されるのは、その後のこと。
セリーヌはイスラムの教義を深く理解して転向したというより、
既存社会に居場所を見いだせず、絶対的な意味や献身を求めた結果、
それを迷いなく言い切ってくれる集団に引き寄せられていく。
後年、実際にヨーロッパから若い女性たちが中東へ渡っていったことを考えると、
その心理を先取りしたようにも見え、デュモンの観察眼には驚かされる。
ログインしてコメントを確認・投稿する