脚の痛みも8割方回復し、まだ階段の昇降には慎重となるが、日常の歩行にはほぼ支障はなくなった。そんなすでに初夏のような気候の本日、経堂に山田磨依ピアノリサイタルを聴きにいった。今日のテーマは「フランス音楽の煌めき」である。
プログラムは次のとおりである。
・タイユフェール:即興曲
・フェルテ:タランテラ
・アーン:2つのエチュード第1曲
・ドビュッシー:ベルガマスク組曲
・サンカン:トッカ−タ
・フォーレ:バルカローレ第3番
・ダマーズ:ソナチネ
・ダマーズ:トッカティーヌ
・ダマーズ:虫
・ダマーズ:序奏とアレグロ
ピアノ:山田磨依
会場:C’est si bon 響堂ホ−ル (14:00 開演)
「今回は珍しく有名な曲も多いです」とのことだが、山田磨依の「有名な曲」の基準はどうなのだろう。たしかにドビュッシーやフォーレなど、よく知られている作曲家の作品はあるけれど。
まずはタイユフェールの「即興曲」から始まる。たぶん初めて聴く曲だ。20歳の時の作品だというが、優雅な感じというか、聴いていると昼下がりのカフェでくつろいでいるような感じになった曲であった。続いてのフェルテの「タランテラ」も初めて聴く曲で、商業音源もない曲だそうである。ダマーズの師の作品で、軽やかに踊る感じが楽しい曲だと思った。アーンの「エチュード」は、本人も「第1番は良く出来たが第2番は失敗作」と言っていたらしいが、その「良い方」の第1番が演奏される。これも優雅な響きが素敵な曲だと思った。
このあとは有名な「月の光」を含む4曲からなる「ベルガマスク組曲」だ。これは知っている曲だと思いきや、やはりそう単純ではない。この曲をダマーズがフルート、ヴィオラ、ハープの三重奏に編曲したものがあるそうで、それをイメージしてピアノ1台で弾くということであった。素人耳には違いはよく分からないが、良い感じに聞こえたのは間違いない。前半の最後は、サンカンの「トッカータ」で締める。これは激しいリズムで一気に進んでいく曲である。サンカン本人から弾くことを勧められた曲とのことである。
後半はフォーレの「バルカローレ第3番」から始まる。山田磨依もフォーレの舟歌の中で一番好きな曲だそうで、小さな波を思わせるような装飾音が効いている。ここまでで初めて聴いた曲でないのは、ドビュッシーとフォーレだけだが、初めて聴く素敵な曲に出会えるのも、いつもの山田磨依リサイタルの楽しみなのである。
最後は山田磨依のライフワークであるダマーズの作品を続けて演奏する。「ソナチネ」は山田磨依が初めて弾いたダマーズ作品とのことだが、私が聴いたのもこの曲が最初だ。ダマーズも山田磨依もよく知らない時に、なんとなく買ったCDで気に入り、それ以降はリサイタルに通い続けることになったわけである。そんな原点のような作品を久しぶりに弾いて、こちらも久しぶりに生で聴ける。ダマーズらしい洒脱さと変化に富んだリズムが凝縮された曲だ。
「トッカティーヌ」と「虫」は初めて聴く曲だと思う。都会育ちのダマーズのいう虫は、「田舎の大きな虫」とは違い、かわいらしい虫らしいが、どんな虫をイメージしていたのだろうか。最後はお馴染みになった「序奏とアレグロ」で締める。アレグロ部分は拍子が変化しまくって何が何やらといううちにどんどん進んでいくような感じで面白い。
このあとも、アンコール演奏でダマーズの小品を3曲も弾いてくれた。「散歩」、「美しい人生」、そして「自転車」である。「美しい人生」はたぶん初めて聴くが、しんみりとしたような素敵な曲だった。ももともとは歌曲で、それをピアノソロに編曲したものだという。さらにもう1曲。偶然にも今日5月17日はサティの160年目の誕生日だそうで、「もともと予定していなかったけど」と言いつつ、サティの「海水浴」を弾いた。
未知の素敵なピアノ曲に出会える楽しさ、それを深い理解を持って演奏する山田磨依。彼女のリサイタルには通い続ける価値がある。
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