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2026年03月24日20:31

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「カフェーの帰り道」

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東京・上野の片隅にある、あまり流行っていない「カフェー西行」。食堂や喫茶も兼ねた近隣住民の憩いの場には、客をもてなす個性豊かな女給がいた。竹久夢二風の化粧で注目を集めるタイ子、小説修業が上手くいかず焦るセイ、嘘つきだが面倒見のいい美登里、大胆な嘘で驚かせる年上の新米・園子。彼女たちは「西行」で朗らかに働き、それぞれの道を見つけて去って行ったが…。大正から昭和にかけ、女給として働いた“百年前のわたしたちの物語”(amazonより)

大正から戦中、戦後にかけての上野のカフェ「西行」の女給たちの人生。
女給の制服というのは、派手な銘仙の着物にフリルのついた白いエプロン。
(この本の装丁は、その銘仙の柄をイメージしているようです)
その恰好をしたいが為に、或いは生活の為に、西行に集まって来る女給たち。
100年前であっても、女たちの悩みや思いは今とさほど変わらない部分があることに驚きます。

”結局は文学をあきらめ西行を辞めてからも、高女卒というセイの学歴は、役に立たないどころか邪魔になった。会社は、中程度の学歴でとにかく若い女を欲しているのだ。そもそも女は正社員にも準社員にもなれない。短期雇用が前提で、妹がいた鉄鋼会社のように二十八歳定年の大企業も多いと聞く”(「出戻りセイ」から)

この本には、その銘仙や着物の色や柄についての記述が幾つもあり、多少着物を着る人間としては興味深い。
「浅葱色の地に菖蒲色の矢絣」「芥子色と紫の流水柄に海老茶の葉が散った銘仙」「派手な梔子色の小紋」といった具合。
派手な梔子色って、クチナシの花って白なのに?と思って検索してみたら、「クチナシの実で染めた少し赤みのある黄色」なのだそうです。
様々な人生を背負ってバラバラに生きる女給たちが、最終章でゆるやかに繋がってみんなそれなりに幸せに生きていて、なんだかホッとしました。

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