中学2年生の桐乃は、東南アジア系の人々が住む古い団地の生活にウンザリしていた。
学校は荒れて優等生の彼女は孤立し、母親は団地の外国人を助けることに奔走し、自分は放って置かれている感が否めない。
同じクラスのベトナム人ヒュウと親しくなるが、ヒュウもまた生活にやっとの母に無視され続け、学校ではいじめられている。
挙句にヒュウは不良グループと関りを持ち、事件に巻き込まれて家出をし、桐乃もその後を追うことになる。
北関東の、元技能実習生たちの隠れ家に逃げるが、そこにも辛い現実が待っていた。
桐乃もヒュウも、どうしようもない苛立ち感にずっと苛まれています。
閉塞的な団地を出たいが、家は貧しく、自分はまだ子供であり、身動きが取れない。
”何も変わらないだろう。母は自分をないがしろにし、学校ではいじめられ、ティエンの仲間からは多分、足をあらうことができない。変わらない日常がまた続くだけだ。帰りたくない。でももう行くところがないんだ”(ヒュウ)
”(ヒュウの)おじいさんは言葉を続ける。「日本には戦争も紛争もない。こんなに穏やかな国が他にあるだろうか」桐乃は言葉を返すことができない。「でも…」そう言おうとして口を噤んでしまう。日本、ベトナム、その間にある広い海。あまりにも過酷な旅路、そしてコンテナでの生活。そんな経験をしたおじいさんに、私たちには私たちのつらさがあるんだと、桐乃はどうやっても言い返すことができない”(桐乃)
その二人の、家出や逃亡を通してのひと夏の成長を描く物語なのですが、ようやく少し明るい方向に向ったかと思いきや、「エピローグ」でその甘い期待がぶち壊されます。
これが現実ということか。
それでも彼らのヒリヒリする思いが丹念に書かれ、遥か昔の思春期の痛みを思い起こされるのと同時に、在日外国人の実情の厳しさを伝えてくれる本です。
この2週間に読んだ本(記憶に残したい本は記録することにしました)
「教誨」柚月裕子
「人魚が逃げた」青山美智子
「告白」町田康
「シリアの秘密の図書館」
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