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2025年07月02日20:15

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【読書】 最近読んだ本 備忘禄

最近読んだ本の、備忘的メモ。

●「赤と青のガウン」 (彬子女王著、PHP文庫)

�鄂凌堂Δ汎曳淇�子の第一王女である彬子女王によるオックスフォード大学マートン・コレッジの留学記である。女子皇族として博士号取得は史上初、海外の大学からの課程博士号取得は皇族として史上初であり、現在も日本美術史の研究者として学術研究を続けていらっしゃる。博士号を取得するのに皇族であることは関係ない。この本は一研究者として過ごされたオックスフォードでの5年間のことを書かれたものである。研究を進める中でさまざまな苦労もあり、くじけそうになったこともあるが、博士号を取得するという目的に向けて相当な努力をされ、博士論文も厳しい審査に通って、博士号取得者だけが着ることを許された「赤と青のガウン」が与えられたのである。また、「生まれて初めて一人で街を歩いたのは日本ではなくオックスフォードだった」のであり、研究に没頭しながらも自由も満喫されていたようであり、英国での友人のことや指導教授のことなども生き生きと書かれている。この本がベストセラーになったのも分かる面白い本であった。


●「高宮麻綾の引継書」 (城戸川りょう著、文芸春秋)

たまたま書店に目立つように積んであるのを見て、なんだか面白そうだと思い読んだ。会社を舞台にした痛快コメディーといった話で、面白かった。入社三年目の高宮麻綾は、温めていた新規事業企画をプレゼンして採用された。そして事業化に向けてスタートするはずだった。しかし直前になって上層部から中止を告げられる。その理由は、過去に大事故を起こした会社と同じような設備を持つ協力会社と連携することには懸念があるという親会社の意向だという。その大事故を起こした会社と今回の会社は全く関係ないのに。そのことにブチ切れる麻綾。次第に「リスク回避」は表向きの理由で、上層部が隠している裏があることに気付き、同僚や関係会社を巻き込んで駆けずり回る。その間何度も部署異動をする羽目になるが、ついに真相を突き止めるのである。


●「彷徨える現代を省察する」 (池内了著、而立書房)

著者は宇宙物理学者であるが、現代の日本の問題点についての思いを、科学者の視点で綴った本である。ウクライナ問題に関連して、ウクライナの武装抵抗を支持することの危険、原発問題について著者が新潟県の原発事故検証総括委員長を務めた際の、もともと科学者として公平な目で問題を整理するはずが政治的圧力で骨抜きになってしまった話、政権政党が軍拡路線に走っていることの危機感、日本国憲法の精神をもう一度正しく吟味しようとする話、そして最後は科学者としての本領である科学の話と、内容は多岐にわたるが、軍事を持たない国でありたいという思い、学問の自由を守りたいという思いなどが強く伝わる本である。


●「絶対数学の世界」 (黒川信重著、青土社)

「リーマン予想」という、数学の最大の難問にて、数学の根本課題ともいわれる予想がある。これが証明されれば数学(に限らず多くの分野で)の視界が一気に広がるのであるが、いまだに解決に至っていない。これは数論・ゼータ関数論の第一人者である著者による、リーマン予想についての新たな視点を示す「絶対数学」についての本である。木にたとえるなら、地上に現れた部分を研究しても行き詰っているなら、根の部分に注目してみようということだろうか。一元体を根底に据えた「絶対数学」を考えると、数論は一元体上の理論と捉えることができるのだ。絶対数学の基本となるのは絶対ゼータ関数であり、絶対保型形式から構成するという方法が発見され、絶対ゼータ関数の黒川テンソル積が絶対保型形式のテンソル積に対応していることが明確になって、ゼータ関数の零点におけるテンソル積構造が確立するのである。そのような道筋を示すとともに、高木貞治、谷山豊、佐藤幹夫といった日本の過去の数学者たちの夢について述べ、リーマン予想解決への途を探っていくのである。生きているうちにリーマン予想の解決を見たい!


●「狸とその世界」 (中村禎里著、角川ソフィア文庫)

古くから人里近くに住み、昔話などにもしばしば登場していた狸。その狸について、様々な視点から深く考察した本といえるだろう。昔話における狸の役割を、同じように登場するネコ、サル、キツネなどと重ね合わせて考え分類する。キツネは信仰の対象となり祀られていく一方で、タヌキは妖怪としての性格が強くなっていくのである。キツネは凶暴性や残虐性が強いのに対し、タヌキは愚鈍で滑稽になることも多い。また、信楽焼のタヌキのルーツを探り、通帳と徳利はもちろん、大陰嚢の意味するところも考察していく。狸、たぬき、タヌキと表記を使い分け、それぞれの意味するところもきちんと説明している。日本人は狸にどのようなイメージを重ねてきたか、日本人の生活や心の変遷とどう結び付いていたかを書いたもので、ここまで詳しく考察した本はなさそうなだけに、なかなか面白い本だった。
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