mixiユーザー(id:547825)

2025年06月14日14:56

209 view

映画「国宝」

フォト


15歳の時に任侠の抗争で父を亡くし、天涯孤独となった喜久雄(吉沢亮)は、その才能を見込まれて、上方歌舞伎の名門の花井半二郎(渡辺謙)に引き取られる。半次郎の跡取り息子・俊介(横浜流星)と兄弟のように育てられ、親友としてライバルとして互いに高め合う。そんなある日、事故で入院した半次郎が、自身の代役として俊介ではなく、喜久雄を指名し、俊介は家を飛び出して行方不明となる…

フォト


吉田修一の原作を読んで痛く感動したので、映画化を楽しみにしていました。
公開されて1週間、ネットでは絶賛の嵐、映画館も平日昼間なのに9割の入りでした。
歌舞伎の世界に身を投じたヤクザの遺児と名門の息子、二人の栄光と挫折。
血筋か、才能か?
どちらもどんなに望んでも自分では手に入れられないもの。
血の滲むような努力、嫉妬、友情、挫折、孤独、そういったものがてんこ盛りのドラマとなり、「連獅子」「娘道成寺」「曽根崎心中」「鷺娘」の舞台シーンが効果的に挟まれます。
歌舞伎の指導は四代目中村鴈治郎氏(本人も出演)、そして二人は一年半練習を重ね、すべて通しで踊っているらしい。

フォト


原作に比べれば、多少不満もあります。
まず、女性の心理描写が圧倒的に足りない。
喜久雄の幼なじみ、長崎から大阪まで喜久雄を追いかけて来て常に彼に寄り添っていた春江(高畑充希)が、何故俊介といきなり出奔したのか?
映画の展開は唐突過ぎて、これでは只の尻軽女に見えてしまう。
喜久雄の隠し子の綾乃の、父親に対する思いの変化も、これだけでは説得力がなさすぎる。

フォト


もっと不満だったのは、任侠の家での喜久雄の兄貴分、2歳上の徳次の扱い。
原作では喜久雄の生涯に渡って出てくるのですが、映画では冒頭、長崎での踊りと殴り込みのシーンだけ。
後はまったく出て来ずだったのですが…
なんとラスト、人間国宝授与が決まって楽屋から出てくる三代目半次郎(喜久雄)、その楽屋暖簾に徳次の名前が。
ああ、こう来たか…!?

800ページ超の長編を3時間にまとめるには、どうしたって仕方がないとも思う。
削った分、挟まれた歌舞伎の舞台のシーンの素晴らしさには息を呑みます。
これはもう、圧倒的に映像美の強さがある。
曾根崎心中のシーンには、鬼気迫るものがありました。
この映画を観た翌日、私は六月大歌舞伎昼の部を観に行ってしまったのでした。

小説「国宝」の感想文 https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1978098507&owner_id=547825

33 24

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2025年06月>
日 月 火 水 木 金 土
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930