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2022年09月18日08:32

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【読書】 最近読んだ本 備忘禄

最近読んだ本の、備忘的メモ。

●「社会思想としてのクラシック音楽」 (猪木武徳著、新潮選書)

音楽の専門家ではない経済学者による、「音楽を聴けば近代史がわかる」ということで、少し別の視点からクラシック音楽を語った本である。作曲家は誰に向けて作品を生みだしたのか、宗教音楽がオペラ化していった理由とは、作曲家の社会的な位置付けはどう変化していったか、芸術の評価の基準はどういうものだったか、作品にナショナリズムはどう現れていったか、作品の規模はどう変化していったか、技術進歩は作品にどう影響していったか、芸術家と支援者(パトロン)の関係はどうなったか、政治体制と音楽はどう関わって行ったか、言葉と音楽の関係は、等々を、具体的な作曲家の作品を挙げて語っているもので、なかなか読み応えがあった。


●「日本列島四万年のディープヒストリー」 (森先一貴著、朝日選書)

四万年前の日本の人々の暮らしは、現代とはかけ離れたものだと思いがちだが、実は共通していることが多く、先史考古学から現代を見れば、現代社会の課題解決のヒントにもなるだろうというのが、この本の主旨ということである。日本人はどこからやってきて、どのように日本列島の環境に適応していったか、気候変動にどのように対応していったかに始まり、移動から定住へと変わったことで生じた自然への干渉と共生、集団生活における人間関係や、時間管理能力の必要性、平等と格差など、現代社会にも通じる視点を交えて綴っている。考えてみれば同じ人間であり、せいぜい四万年前のことだ。現代人とそんなに違うはずはないのである。


●「神社が語る古代12氏族の正体」 (関祐司著、祥伝社新書)

古代史は、結局は残された史料や遺跡から推察するしかないのだが、この本もかなり独特の視点で語られたものである。この本も、学術的な古代史の考察というよりは、古代史ミステリーとして読んだ方がいい内容だが、そう思って読むと、なかなか楽しめる。古代氏族が祀っていた神社、出雲国造の出雲大社、蘇我の宗我坐宗我都比古神社、中臣の枚岡神社、藤原の春日大社、物部の石上神社と磐船神社、三輪の大神神社、尾張の熱田神宮、阿倍の敢国神社、倭の大和神社、大伴の伴林氏神社と降幡神社、天皇家の伊勢神宮、秦氏の伏見稲荷大社、それぞれの関係を繙きつつ、なぜそうなったかのかを考えていくと、闇に葬られ改竄された「真の古代史」の姿が見えてくる...らしい。


●「妙な線路大研究 東北・北海道・上越・北陸新幹線編」 (竹内正浩著、実業之日本社)

「妙な線路」シリーズ。先日ここにも書いた東海道・山陽・九州新幹線に続き、この本は東京から北に向かう新幹線がテーマだ。やはり、なぜそのようなルートを通ることになったのか、なぜそこに駅が設置されることになったのかを解説している。一見不思議に見える線路も、きちんとした理由があるのは言うまでもない。ただ、東海道・山陽の時とは時代も違い、社会や経済や政治情勢の要求もいろいろと絡んでくるものもある。ルート決定までに計画が二転三転したものもあるが、今となってはよく知られている話も含めて、改めて読むとよく分かる。並行在来線の問題も、東海道・山陽新幹線の時にはなかったことで、新幹線と引き換えに莫大な経費負担が自治体にのしかかってくることを考えると、新幹線の開通は必ずしも手放しで喜べることばかりではないのだ。


●「「ゆらぎ」と「遅れ」」 (大平徹著、新潮選書)

現実社会は不規則や不確実性に満ちている。そんな不確実性は、予想もしない効果をもたらしたり、有益な働きをしたりする。この本は、「ゆらぎ」、「ノイズ」、「遅れ」を、数理学の視点で身近な現象を挙げながら解説したものである。「ゆらぎ」、「ノイズ」、「遅れ」といったものは、安定性を損なう悪者ではないのだ。これらがあるからこそうまく行くことも多いのである。「サッカーは何が起こるかわからない」、「野球はツーアウトから」も、数学的に正しいのである。また、確率の問題で有名な「モンティ・ホール問題」や、「感染検査陽性問題」など、直観とは異なる結果となる事例にも触れていて面白い。身近な現象を数学的に考えると、納得できるのである。
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