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2022年06月15日20:40

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【読書】 最近読んだ本 備忘録

最近読んだ本の、備忘的メモ。

●「江戸の宇宙論」 (池内了著、集英社新書)

物理学者の書いた宇宙論の本といった感じのタイトルだが、内容は江戸時代の絵師である司馬江漢、オランダ語の通訳(長崎通詞)の志筑忠雄、金貸し業の番頭の山片蟠桃の3人の伝記が中心である。この3人に共通するのは、本業とは別に宇宙を論じて著作を残したことである。コペルニクスの地動説から発展し、天体の相対運動という考え方に至った志筑は、地上から地球を周回する衛星を飛ばすにはどうすればよいかも計算している。人工衛星など想像すらしえなかった時代にだ。「重力」、「遠心力」、「真空」といった言葉も志筑が生み出した翻訳語であるという。蟠桃は天体の運動を論じ、恒星の歳差運動まで理解しているなど驚くほかない。系外生物の存在の可能性まで予言した。現代に通じる最前線の宇宙論が、江戸時代の在野学者によって、すでに論じられていたのだ。


●「管見妄語 失われた美風」 (藤原正彦著、新潮文庫)

数学者でエッセイストの著者が週刊新潮に連載していた「管見妄語」をまとめたもので、これが最終巻らしい。数学者としては不定方程式などの数論の研究者として知られており、最近お茶の水女子大学教授を定年退職したと思う。グローバリズムの進展の名のもと、おかしな方向に向かおうとしており、このままでは日本人の中から古来の美風が失われ、無教養な薄っぺらな人間ばかりになってしまうことを危惧して綴ったものである。というと堅そうだが、個人的な経験なども含めて、硬軟織り交ぜた内容で、楽しく読めるエッセイである。数学者と作家の「二足の草鞋」での活躍は、さすが新田次郎の子だなと思うのである。


●「豆の上で眠る」 (湊かなえ著、新潮文庫)

湊かなえの作品らしく、読後にもやもやとした感じの残る小説であった。タイトルからどのような話なのか全く想像がつかないが、これはアンデルセン童話の「えんどうまめの上にねたおひめさま」が、ストーリーに絡んでくるのだ。2つ違いの姉妹、万佑子と結衣子。小学校の時に姉の万佑子が失踪する。懸命に探し続ける家族。良からぬ噂も立つ。そして二年後に万佑子が発見された。無事を喜ぶ家族だが、結衣子だけはかすかな違和感を覚える。二人だけしか知らない幼い頃のことも覚えているし、間違いなく万佑子のはずなのに...。 大学生になった今もその違和感は消えない。お姉ちゃん、あなたは本物なの? そして最後の最後に、全てが崩れ落ちるような真相が明らかになる。


●「未解決問題から楽しむ数学」 (今野紀雄/成松明廣著、技術評論社)

数学の未解決問題は多い。問題の意味は中学生でも分かるのに、それを証明することは簡単ではない。これまでただ一つの例外も見つからず、かなりのところまで成り立つことが確認できていても、それだけは証明したことにならないのだ。3x+1 問題、奇数の完全数の存在、四元数多項式の解の公式などから、ゼータ関数の値、確率セルオートマトンの宮本問題、さらに少し毛色の違う錯確率事象まで、未解決問題を軸に、どこまで分かっていて何が未解決なのかを、関連する話も含めて詳しく述べている。内容は横浜国大での講義が元になっているそうである。実際に計算しながら進めていくところが多く、数式を追っていけば分かりやすい。


●「北海道廃線紀行」 (芦原伸著、筑摩選書)

北海道の廃線跡を、当時の記憶をたどりながら巡る旅である。天北線、羽幌線、名寄本線、深名線、標津線、池北線、白糠線、士幌線、広尾線、手宮線、幌内線、万字線、石勝線夕張支線、札沼線、胆振線、留萌本線、岩内線、瀬棚線、江差線、日高本線、湧網線。この本に登場する路線だけでもこんなにあるのだ。現在のJR北海道を見ると、そのスカスカな路線図に唖然とする。路線が廃止になっても何かしら遺構は残るものだし、駅や線路を別の施設に流用しているものも多い。かつてそこに線路があり列車が通っていた証しを見つけ、炭鉱、にしん漁、砂金、開拓使、屯田兵など、北海道の歴史と重ねて、さまざまな思いに至るのである。私自身も乗った路線もあれば、乗らないままに廃線になったのもあるが、いろいろ思い出すことがあった。
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