最近読んだ本の、備忘的メモ。
●「旅屋おかえり」 (原田マハ著、集英社文庫)
売れないタレントの「おかえり」こと、丘えりかの唯一のレギュラー番組は旅番組。しかし、スポンサーの名前を言い間違えたことで、番組は打ち切られてしまう。仕事のなくなった「おかえり」だが、そこに現れたのは、重い病気で起きることもままならない娘の代わりに旅をしてほしいという依頼。行先は秋田県角館。それを引き受けたところ、娘は生きる希望を取り戻し、華道の家元である父親との確執も解けた。これを機に、依頼人の代わりに旅をする「旅行代理業」をはじめることになった「おかえり」。愛媛県内子へは大手企業の会長からの依頼で旅する。そこには「おかえり」の所属するプロダクションの社長も絡む複雑な事情があったが、「おかえり」の旅で全てが収まるのである。電車の中で読んでいたが、涙腺が緩んできてしまった。
●「透明な螺旋」 (東野圭吾著、文芸春秋)
房総沖で男性の遺体が見つかった。その時と同じくして、同棲していた恋人が行方不明になった。殺された男性の関係者は、誰一人として褒める人はいず、どうやら失踪した恋人もDV被害に会っていたらしいと分かる。このことから、失踪した恋人が容疑者に浮上するが、事態はそう単純ではなかった。亡くなったその女性の母親、その母親が慕っていた絵本作家の女性、刑事の友人の物理学者、クラブのママ。離れ離れになった親子関係なども複雑に絡み合う。そして、物理学者湯川学の意外な真実が明らかになる。というのは、この作品はシリーズ第10弾なのだそうだが、シリーズを通して読んだ訳ではないので、過去作品に登場する湯川学は知らぬ。
●「店長がバカすぎて」 (早見和真著、ハルキ文庫)
吉祥寺の書店に勤務する契約社員の谷原京子。店員たちを苛立たせるばかりの「非」敏腕店長。「店長がバカすぎて、こんな仕事辞めてやる!」と毎日思う谷原京子だが、本が好きで書店員になりたくてなったので、仕事自体に不満がある訳ではない。ただ、高圧的な大手出版社、苦手な小説家、理不尽な言いがかりをつけてくる客など、ストレスはたまるばかりだ。そして、先輩社員、アルバイトの学生、子供の頃に親に連れられていった神保町の書店の元店員など、いろいろな人たちと関わりながら、谷原京子の中で何かが変化していく。まあ、仕事絡みで「バカすぎて」と思う人は、誰でも思い当たる人は何人かいるものだが...
●「ランチ酒」 (原田ひ香著、祥伝社文庫)
バツイチ、アラサーの犬森祥子の仕事は「見守り屋」。夜から朝までが営業時間で、いろいろな事情を抱える客からの依頼を受けて、寝ずの番で見守りをし、仕事を終えたあとの食事が一日の終わりとなる。そこで「ランチ酒」を楽しむのだ。武蔵小山、中目黒、丸の内、中野、ちょっと出張して大阪の阿倍野、御茶ノ水、新宿、十条、新丸子、秋葉原、代官山、房総半島、不動前、中野坂上と、それぞれの場所で美味しい食事とお酒を楽しむ。実は依頼人だけでなく祥子自身にも、別れた元夫や、元夫が親権を持つ娘との関係など複雑な事情を抱えているが、さまざまな依頼人と接するうちに、前向きな気持ちになっていく。作中に登場する食堂は、モデルとなった店が分かるものもあり面白い。それに、昼間から飲む酒は最高なのだ。最近はほとんどしないけど。
●「青梅線レポートの謎」 (西村京太郎著、角川文庫)
西村京太郎追悼ということで、適当に書店でピックアップして購入し読んだ本。比較的馴染みのある青梅線が舞台の話だということで選んだ。西村京太郎といえばトラベルミステリーだが、この本は少し異質な話である。SFと言った方がよいかもしれないが、それもB級SF作品というべき荒唐無稽なストーリーだ。「青梅線レポート」が何かを尋ね歩いた男が殺害される。さらに、「青梅線レポート」について確認しようとしていた女性カメラマンも行方不明になる。「青梅線レポート」とは何か? その謎を追って十津川警部らが動き出す。と、ここまではいいが、AIだロボットだクローンだと、最先端の技術がからんだ陰謀が明らかになるにつれ、もう話が飛躍して、現実離れしていく。この本で追悼とするのは残念なので、他のトラベルミステリーを別に読もうと思う。
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