mixiユーザー(id:263792)

2022年02月13日15:13

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339冊目『記憶の渚にて』

白石一文著

初対決が大当たりだったので早くも再戦。
『一億円のさようなら』→323
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1979161114&owner_id=263792

うーーん、参ったね。「一億円」とは毛色が違い過ぎ。
白石作品は今回で二作目なんで、まだ作風が掴み切れてません。
「一億円」は、かなりエンタメ方面に振ってくれてたのかも?
何と言えばいいのか今作、感想が形にならないというか、どうにも説明し難い読後感です。

世界的作家である兄が死んだ。自殺らしい。
離婚後兄は天涯孤独であったため、兄弟間の交わりが途絶えて久しいが、唯一の身内である自分が事後の処理をすることになった。
本当に自殺だったのだろうか?
残された謎のメッセージと見え隠れする新興宗教団体の影。
兄の死に秘められた真実とは、、、

ミステリーだと思うでしょ?思うよね、俺もそのつもりで読み進めていくに、、、あれ?何だか雲行きがオカシイぞと。
前半と後半では全く別の作品と言ってもいいくらい。
「量子論的な不確定性原理」って、オイオイSFかよッ!と思いきや、肉食を巡る生命倫理の話になったり、果ては「記憶とは何か?」という壮大なテーマを問うファンタジー???に至ります。

正直、一つの作品としての一貫性を欠いたごった煮感は拭えず。
ミステリー・SF・ファンタジーという相性最悪の三要素がすくみ合っているだけでもかなりの読み辛さなんですが、親類縁者が入り乱れる登場人物相関がこれまた曲者複雑過ぎ。
凡人が直感的に関係を理解出来るのは二親等まで。三親等以上はどうしても一旦読書を止めて考えないといけない。
主人公が義理の伯父の弟(合ってる?)とか、兄の嫁の妹の息子(義理の甥?)とか、マジ勘弁して下さい。
この“確認作業”が悉く読書リズムを殺いできます。
巻頭に人物紹介あったんで、この手の作品にしては珍しいなとは思ったんですが、まさかここまで複雑だとは。

ある一定以上の情報量が流入するとパンクしちゃうんですよ、脳が。
それまで皺に刻み込まれていた文章が、パンク以降は脳の表面を滑っていく感じ。
そもそも兄の死の真相を探っている序盤の段階で、読心術や予知能力みたいなミステリーでは絶対NGな超常現象要素を匂わせてきてたんで、早々に今作の謎を解いてやる!みたいな前のめりな読書姿勢は解除されてましたが。

っつーわけで、百ページを過ぎた段階でも全くこの読書の行く先が見えず。
例えばミステリーなら犯人は誰?、恋愛モノなら恋が成就するのか/別れるのか、歴史小説なら史実に向かってどう展開していくのかっつーおおよその読書の方向性ってのがあるじゃないですか。
皆無。
周囲三百六十度島影一つ見えない真っ青な凪の海で、小舟に揺られている様な不安感。

『ホサナ』→332
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1980617392&owner_id=263792
みたいにこれは意味不明な作品だからと割り切ることも出来ず、ただただエンディングに流されていくのみ。

このユラユラと流されていく感覚を楽しめれば良かったんですが、いかんせん面白くないんだなぁコレが。
それでも独特の雰囲気があるのは大いに認めるところなんで、この辺の面白い/面白くないは相性の問題でしょう。
どこに向かってるか解らないことを、不安がらずに面白がれる人間になりたいもんです、、、読書でも人生でも。


小説というよりは、記憶に関する学術書
★★☆☆☆
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