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2021年01月05日18:18

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【読書】 最近読んだ本 備忘録

年末年始に読んだ本。

●「数学の歴史」 (J.ステドール著/三浦伸夫訳、丸善出版)

数学史の本というと、古代から近現代までの数学上の発見などを年代を追って記述し、それを現代数学の視点で解説したものが多いが、この本はそのような形態はとらず、これまでに例のない斬新な切り口で述べたという。たしかに、いわゆる数学史の本とはだいぶ趣が違う。数学とは何か数学者とは何者なのか、数学的アイデアはどのように広がるものなのか、数学を学ぶとはどういうことなのか、数学者としての生活はいかなるものかを、広く捉えたもので、数学史の本に必ず出てくるような有名な定理や数学者も、この本には書かれていないものが多い。有名な数学者の業績はたしかに素晴らしいが、数学の多様性や社会層の他のレベルの数学的経験を必ずしも反映してはいないのだ。なかなかユニークな本であると思う。


●「こんなものまで運んだ!日本の鉄道」 (和田洋著、交通新聞社)

鉄道は人だけでなく、実にいろいろな物を運んできたのだ。そんな鉄道の貨物輸送、荷物輸送について書かれた本である。もともとは旅客と一緒に運ぶ荷物だったが、荷物専用の列車が出来たり、貨物の方も実に多くの種類の貨車が存在した。家畜、鮮魚、野菜などから、新聞や郵便物、現金や美術品、さらに無形の文化まで運んだ。荷物や貨物は人間と違って自分で乗り換えてくれないので、その苦労もある。新聞の印刷は鉄道ダイヤに合わせて分刻みで行われたり、動く郵便局といえる郵便車内では仕分け作業が行われたり、今は見られない光景だ。現在は荷物輸送は廃止され、貨物輸送も特定用途の貨車以外はコンテナ車に集約されたが、災害時の物流など社会の要請に応えらえる輸送手段は、やはり鉄道に勝るものはない。


●「怪しい人びと」 (東野圭吾著、光文社文庫)

7つの短編「寝ていた女」、「もう一度コールしてくれ」、「死んだら働けない」、「甘いはずなのに」、「灯台にて」、「結婚報告」、「コスタリカの雨は冷たい」を収めた文庫新装版。読んでいて一体どうなるのだろうと思いつつ、最後は予想外の結末になるという、読み手を飽きさせない珠玉の作品ばかりだ。読み始めると止まらず、電車の中で読んでいると、続きが気になって降りる駅を過ぎてしまう。よく読むと巧妙に伏線がはってあるのだが、それに気付くのは読み終わってからである。今まであまり東野圭吾の作品は読んでいなかったが、これでは次々に読みたくなってしまう。


●「あの頃の誰か」 (東野圭吾著、光文社文庫)

そんな訳で、続けて読んだ東野圭吾の作品集。「シャレードがいっぱい」、「レイコと玲子」、「再生魔術の女」、「さよなら『お父さん』」、「名探偵退場」、「女も虎も」、「眠りたい死にたくない」、「二十年目の約束」の8編を収めてある。これまでに短編集などに入っていなかった「わけあり作品」ということだが、これがなかなか面白い。バブル時代を思い出させる話、多重人格の話、ややSFめいた話、古典的探偵小説のひねりのような(?)作品など、やはり最後まで一気に読めてしまい、そして意外な結末になっているというものである。私としては、作者自身が「駄作だからこれまで短編集に入れなかった」と言っている「二十年目の約束」が一番よかったのだが...。


●「天岩戸神話を歩く」 (みやのゆきこ著、新評論)

著者は古代史や神話の専門家ではない。登山ガイドやスキーガイドで活躍されている方だ。そのみやの氏が昔母親から聞いた「天の岩戸が開かれた時に戸隠まで飛んだ:」という話をきっかけに、神話に興味を持ち、高千穂を訪れて、ゆっくりと歩きながら神話世界に触れた紀行文である。山に囲まれ、里山の暮らしが営まれている高千穂には、山々にも多くの伝説が残されており、それを自分の足で歩きながら、それを肌で感じ、神話世界に入り込んでいくのである。ゆっくり歩くことで分かることもあり、そういう旅こそが素晴らしいものであることを教えてくれる。「古事記」好きの私としては、高千穂もいずれ行きたい場所だが、この本で雰囲気を味わうことが出来た。
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