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2018年11月03日21:50

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【音楽】 人と人を結ぶ歌 〜北区ゆかりの室生犀星、芥川也寸志を中心に

今日は、王子の北とぴあに歌を聴きに行った。北とぴあ国際音楽祭2018の一環で、北区にゆかりの室生犀星作詞や、芥川也寸志作曲の歌曲を中心に、北区にちなむ歌や、伊福部昭、團伊玖磨、武満徹、黛敏郎作曲の歌曲も取り上げるコンサートである。

 ソプラノ:盛田麻央、名倉亜矢子/バリトン:根岸一郎、小酒井貴朗
 ピアノ:河内春香/合唱指揮:鈴木智士
 合唱:石井夢司、河端夏紀、岸本藍、久津見れい、鈴木佳織、高橋葉子、土屋晶義、
     町田岳大、松本義央、向井春香
 会場:北とぴあつつじホール (14:00 開演)

さて、ここまで書いたのを見て、どのようなプログラムを想像するだろうか。

実は今日のプログラムは次のとおりである。

■北区の団体歌
 1. 北区のうた (作曲: 團伊玖磨/作詞: 井関謙)
 2. 聖学院中学校・高等学校 (作曲: 大澤壽人/作詞: 由木康)
 3. 北区立荒川小学校 (作曲: 箕作秋吉/作詞: 呉茂一)
 4. 北区立滝野川第四小学校 (作曲: 渡辺浦人/作詞: サトウハチロー)
 5. 北区立王子第ニ小学校 (作曲: 信時潔/作詞: 土岐善麿)
 6. 北区立田端中学校 (作曲: 平井康三郎/作詞: 室生犀星)

■室生犀星の詞による団体歌
 7. 大田区立馬込第三小学校 (作曲: 平井康三郎/作詞: 室生犀星)
 8. 金沢市立小将町中学校 (作曲: 山田耕筰/作詞: 室生犀星)
 9. 金沢大学附属高等学校 (作曲: 下総皖一/作詞: 室生犀星)
10. 長野県立軽井沢高等学校 (作曲: 信時潔/作詞: 室生犀星)
11. 日体荏原高等学校・桜華女学院中学校・日体桜華高等学校 
                                 (作曲: 芥川也寸志/作詞: 室生犀星)

■芥川也寸志の団体歌
12. 千葉市立稲毛小学校 (作曲: 芥川也寸志/作詞: 松原至夫)
13. 市川市立宮田小学校 (作曲: 芥川也寸志/作詞: 西條八十)
14. 静岡県立修善寺工業高等学校 (作曲: 芥川也寸志/作詞: 井上靖)
15. 群馬県立高崎高等学校 (作曲: 芥川也寸志/作詞: 草野心平)
16. 京都府立洛北高等学校 (作曲: 芥川也寸志/作詞: 吉田幸次郎)
17. 慶應義塾中等部「中等部の歌」 (作曲: 芥川也寸志/作詞: 折口信夫)
18. 早稲田大学「早稲田の栄光」 (作曲: 芥川也寸志/作詞: 岩崎巌)
19. 日航マーチ (作曲: 芥川也寸志/作詞: 谷川俊太郎)
20. 東京ガス讃歌 (作曲: 芥川也寸志/作詞: 谷川俊太郎)
21. 東京都立井草高等学校 (作曲: 芥川也寸志/作詞: 土岐善麿)
22. 山形県立寒河江高等学校 (作曲: 芥川也寸志/作詞: 神保光太郎)
23. 鹿児島市立鹿児島女子高等学校 (作曲: 芥川也寸志/作詞: 菅原杜子雄)
24. 鹿児島ナポリターナ (作曲: 芥川也寸志/作詞: ホセ・しばさき)
25. 東京ロータリークラブ「いざ友よ」 (作曲: 芥川也寸志/作詞: 星野哲郎)
26. 大阪社会事業短期大学 (作曲: 芥川也寸志/作詞: 小野十三郎)

■伊福部昭の団体歌
27. 北海道讃歌 (作曲: 伊福部昭/作詞: 森みつ)
28. 福島市立平野小学校 (作曲: 伊福部昭/作詞: 清水延晴)
29. 北海道新得高等学校 (作曲: 伊福部昭/作詞: 阿部戸一)
30. 全開発の歌 (作曲: 伊福部昭/作詞: 沢谷純一)

■團伊玖磨の団体歌
31. 京都府の歌 (作曲: 團伊玖磨/作詞: 田中秀果)
32. 川口市民歌 (作曲: 團伊玖磨/作詞: サトウハチロー)

■武満徹の団体歌
33. 伊賀市立上野西小学校 (作曲: 武満徹/作詞: 橋本鶏二)

■黛敏郎の団体歌
34. 八千代市立村上東小学校 (作曲: 黛敏郎/作詞: 江口一雄、戸田展弘)
35. 北海道苫小牧南高等学校 (作曲: 黛敏郎/作詞: 河邨文一郎)


「人と人を結ぶ歌 団体歌の魅力」と題する、学校の校歌、自治体の歌、企業の歌など、いわゆる団体歌の演奏会である。全く縁のない学校や企業、住んだこともない自治体の歌など、このようにまとまって聴く機会など滅多にあるものではない。いや、まとまって聴かないどころか、そもそも接する機会すらない歌がほとんどだ。こんなマニアックなコンサート、仕掛け人は西耕一さんで、本日の司会も務める。

まずは「北区のうた」から始まるが、もちろん初めて聴く。「この歌をご存じの方は?」と聴かれて挙手した人は会場の2割くらいだが、おそらく北区民だろう。

今日のプログラムは、1人、2人、4人、合唱と、いろいろな組み合わせで歌われる。伴奏は全て河内春香さんだ。

団体歌は、明るく歌いやすい歌というのが基本である。しかしながら、やはり作曲者による個性が出るのが面白い。大澤壽人のモダンな感覚の校歌、信時潔のずっしりとした校歌、山田耕筰の芸術的な校歌(金沢の学校ということで気合が入ったのだという)、どれもそれらしい。

芥川也寸志のところにくると、これまた完全な芥川節。聴いていても楽しい。稲毛小学校はバリトンの根岸さんの出身校で、創立100年を超える歴史ある学校とのこと。根岸さんの歌にも一層の思い入れがはいる。修善寺工業高校は、井上靖の作詞で、「みとせのとしはすぎやすし」の「やすし」のことろだけ妙に強調したような曲調になるのは、井上靖と芥川也寸志の「ダブルやすし」の遊び心も入っているという。校歌といえども奥深い?

「早稲田の栄光」は、もちろん知っているが、卒業して約30年も経って、こんな場所で聴くとは思わなかった。芥川也寸志さんの作曲だったのね。♪栄光はみどりの風に 花ひらく若き日の歌 と、一緒に歌いそうになってしまった。ちょっとジンとくる。

「日航マーチ」や「東京ガス讃歌」などの企業歌は、校歌とは少し趣が違う。今日は東京ガスの方も3人会場に来ていて、東京ガス社員を含めてもう一度歌われた。

鹿児島女子高は女子校なので男声は合わないと、名倉さんのソプラノソロで歌われる。しっとりとした歌曲という感じで、クラシック歌曲リサイタルの雰囲気になる。そのあとの「鹿児島ナポリターナ」は盛田さんの独唱。これは、もう完全にクラシック歌曲リサイタルだ。

大阪社会事業短期大学は、現在は大阪府立大に組み込まれてしまったそうだが、素敵な校歌だけは残そうと受け継がれているものらしい。学校はなくなっても校歌は残る!

伊福部昭の団体歌は「明るく歌いやすい」という団体歌の原則から外れて、違う方向に行ってしまった(西耕一さん談)、暗くて重い曲だ。まあ、それがいかにも伊福部さんらしい。「全開発の歌」は、伴奏もクラスター奏法が入っており、「全開発」(全北海道開発局労働組合)らしい(?)勇ましい歌だ。

團伊玖磨の団体歌は、団体歌の基本に沿って作られた素敵な曲となっているが、黛敏郎のは校歌というよりはモダン歌謡という感じである。

最後は会場の客も含めて「北区のうた」を歌った。プログラムに楽譜と歌詞が載っている。小酒井さんによる短い歌唱指導のあと、全員で歌った。私も今日初めて知った歌なのに、楽譜があるおかげで歌えてしまった。北区民でもないのに、♪こんなに明るい朝だから こんなに明るい風が吹く、が耳から離れない。

実に楽しい時間であった。いわゆるクラシック音楽のコンサートとはまた違った楽しさがあり、こういうのもいいなと思ったのである。
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