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2017年09月16日21:13

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【音楽】 オーケストラ・ナデージダ演奏会@船堀

先日の日曜日に日本人作曲家の作品をコンサートで聴いて、しばらく余韻が続いていた。ほぼ毎日何かしらのCDを家で聴いているのに、今週は別の曲を聴く気になれなかったほどだ。そして、この連休は、ようやく日本人作曲家から、ロシア・北欧の作曲家にシフトするのである。

今日は台風も近づいているし、腰痛気味ではあるが、はるばる東京の東の外れ江戸川区にコンサートに行った。オーケストラ・ナデージダの定期演奏会である。このオーケストラは、ほぼ毎回行っている。今日のプログラムは次のとおりである。

 ・グレチャニノフ: 交響曲第1番
 ・ラウタヴァーラ: 愛の話 −「幻影の書」より第3曲
 ・ラフマニノフ: 交響詩「死の島」
 ・チャイコフスキー: デンマーク国家による祝典序曲

   指揮:渡辺新
   会場:タワーホール船堀 (13:30開演)

船堀駅をおりて食事をしたあと、ホールに向かう。会場はやや空席が目立つのは、プログラムが地味なせいだろうか。魅力的なプログラムだと思うが。

プログラムには、今日演奏する曲ごとに、NaxosのCDの帯のような(?)短い解説が付いている。
 ・演歌が鳴り響くオープニングはまさにロシアの歌謡ショー。
 ・緩やかに甘美な音詩が綴られ、心あらわれるような時間が流れていく。
 ・ラフマニノフの作品では異色とも言える世紀末的な世界へ。
 ・まだまだあります!大作曲家の傑作。
これで作品の説明がしつくされているような、簡潔にして的を射た文である。もう一つ、プログラムに書かれていることで気になったのは、「楽章間での拍手はご遠慮ください」という文面だ。開演前のアナウンスでも同様の注意があった。これは異例なことではないだろうか。

最初はグレチャニノフの交響曲第1番である。「演歌が鳴り響く」とはオーバーではあるが、確かに日本人の耳にも馴染みやすいメロディーがあふれ、カリンニコフに近いかもしれない。ちょっと金管楽器にヒヤッとする箇所があったものの、随所に演歌(?)を聴かせながら、すっきりと好ましい演奏であった。ところが、なんとその第1楽章が終わったところで拍手が起こった。事前の注意を聞いて(見て)いないのか。気を取り直して第2楽章へ。「演歌」が鳴り響く(?)第1楽章よりも、個人的には第2楽章の方が好きなのだが、こちらは良い感じであった。実に心地よい。第3楽章へは切れ目なく続き、軽快な音楽が終わったところで、また拍手が起こった。ここで集中力が切れそうになった。第4楽章はそのためかどうか、少し退屈してしまったが、演奏としては全体を通して良かったと思う。曲が終わると、指揮者が棒を下す前に、間髪入れずに拍手が起こった。一体この会場の客はどうなっているのか。

休憩に入った瞬間、会場のどこかで奇妙な喚き声が聞こえた。何を言っているのか聞き取れないが、会場の誰かに怒っているようだ。たしかに、音楽への集中力を削ぐような拍手は問題だが、だからといって、この喚き声はないだろう。完全に気分が台無しになった。

気を取り直して、ラウタヴァーラだ。これは全く初めて聴く曲だ。「幻影の書」は、「夜の話」、「火の話」、「愛の話」、「運命の話」の4曲からなり、今日は第3曲を演奏する。やはり、ラウタヴァーラである。初めて聴く曲でも「ラウタヴァーラだな」と分かる、冒頭の説明のとおりの「心あらわれるような」音楽である。これは素晴らしい演奏だった。演奏が終わっても、指揮者が棒を下すまで数秒の静寂があった。グレチャニノフで削がれた気分も、ラウタヴァーラですっかり落ち着いた。

続いて、ラフマニノフの「死の島」である。たしかに、「ラフマニノフの甘美なメロディー」とは、雰囲気が違う作品だと思う。冒頭から重々しいし、展開する音楽はモノクロの世界だ。ラフマニノフはベックリンの絵のモノクロの模写版を見てインスピレーションを得たそうだが、のちに原画を見て、予想よりも明るい色調の絵だったことにがっかりしたという。カラー写真よりもモノクロ写真の方が、いろいろなイメージを見る人に与えると思うが、ラフマニノフもまさに、モノクロの絵だからこそインスピレーションを得たのだ。「ラフマニノフの作品の中では異色」とあるが、私は結構好きな作品である。いわゆるラフマニノフ的イメージを抑え、陰鬱な世界を描き出したような好演であった。ただ、最後の音が鳴ったあと、指揮者が棒をおろす前にパラパラと拍手が入ったのが実に残念。指揮者が棒をおろして、再び会場全体の拍手となった。

最後はチャイコフスキーの「デンマーク国家による祝典序曲」である。初めて聴く曲かと思っていたら、帰ってから手持ちのCDをあさってみたら、交響曲の余白に入っているのがあった。これはいかんな。手持ちのCDもきちんと聴いていない。初めて聴く曲だと思って聴いていたが、非常に楽しく聴くことが出来た。デンマークの王室用国歌(市民用国歌と王室用国歌の2種類があるらしい)が引用され、途中で「1812年」にも引用されているロシア帝国国歌のメロディーも現れて、初めて聴く気がしなかった(実際CDで聴いていたはずだが)。「1812年」のように大砲をぶちかますこともないので、そちらに比べるとやや地味な祝典序曲だが、こちらもなかなかの傑作であることが分かるような演奏であった。やはり、聴いたことすら忘れているCDよりも、生演奏で聴くことの効果は大きい。

いつもなら必ずやるアンコール演奏も今日はなし。指揮者が、どうも「今日はアンコールをやる気分ではない」という表情のようにも見えた。(実際は単にもともと用意していなかっただけなのだろうが。) 演奏会のチラシには、「江戸川区民は無料」、「65歳以上は無料」の記載がある。このためなのか、ナデージダが船堀で演奏会をするようになってから、楽章間拍手や余韻ぶち壊し拍手に毎回会っている。普段クラシック音楽の演奏会に馴染みのない江戸川老人が結構入っているのだろう。演奏はどうでもよく、曲が終わったらただ拍手をすればいいだけの人たちが混じっていそうだ。

幸い、次回は会場を杉並公会堂に変えるようだ。今度はじっくりとメトネルとシンディングが聴けそうだ。(江戸川老人は入場拒否で)
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