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2017年06月18日22:14

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【音楽】 秋場敬浩ピアノリサイタル 〜アルメニア音楽他

今日は昨日とは変わってどんよりとした曇り空だが、その分涼しくてよい。午後から荻窪に秋場敬浩さんのピアノリサイタルを聴きに行った。

今日のプログラムは次のとおりである。

 ・コミタス: 7つの舞曲
 ・ババジャニャン: 4つの小品
 ・アルチュニャン: 3つの音の絵
 ・ショパン: ノクターン第13番
 ・ショパン: 3つのマズルカ 作品59
 ・ショパン: 幻想ポロネーズ

   ピアノ:秋場敬浩
   会場;杉並公会堂小ホール (15:00開演)


杉並公会堂の地下にある小ホールは久しぶりだ。190人入れる客席は2/3ほどの入りだろうか。なぜか、左側の席から埋まっていく。今日は前半のアルメニアの作曲家の作品を聴くのが楽しみである。

最初はコミタスの作品である。コミタスという名前がアルメニアらしくないが、これはアルメニアの修道士としての名前であり、本名はソゴモン・ソゴモニャンという。これならのアルメニア人の名前だ。「7つの舞曲」はCDで最近聴いたばかりだが、改めて生でじっくり聴いてみて、しみじみと沁みてくるような作品だと再認識した。マヌシャキ、イェランギ、ウナビ、マラリ、シュシュキ、ヘト・ウ・アラジ、ショロルの7曲からなる。標題を見ただけではイメージが全くわかないが、聴けばどこか東洋的な響きで、懐かしさも感じるような作品である。コミタスはアルメニアの民謡を収集し研究した。作品はそれらがベースになっている。西欧音楽とは違う、東洋人に通じる音楽。決して幸福な人生を送ったとはいえないコミタスだが、その作品はアルメニア民族に根差した素朴で純粋な音楽である。秋場さんの演奏も、この作品の持つ独特の雰囲気を見事に引き出しているように思う。素晴らしい。

続いては、ババジャニャンの作品である。今度はまた雰囲気が変わり、メロディーが素敵な音楽である。ババジャニャンは、いわゆる「クラシック音楽家」の他に、歌謡曲作家としての一面もあるが、作品からもそれを感じることが出来る。作品1の4曲は、プレリュード、ヴァガルシャパト舞曲、即興曲、エレジーからなる。(プログラムには4曲目は「カプリッチオ」と書いてあるが間違いとの説明あり。ついでに、ババジャニャンのところにKOMITASと書いてあり、こちらも誤記だなあ。) ババジャニャンの作品は聴いていてうっとりするような作品である。秋場さんの演奏によるところも大きいと思うが、こちらも素晴らしい。

続いてはアルチュニャンだ。(ハルチュニャンともいうらしい。) トランペット協奏曲を2年くらい前に聴いたが、それ以外の作品は全く知らなかった。ピアノ作品は今日初めて聴く。「風は山々を吹き抜ける」、「アララト渓谷の夕べ」、「サスーンたちの舞踏」の3曲からなる。アルチュニャンのこの作品は、前の2人の作品とはまた違って、ファンタジーというか、幻想的というか(同じか)、そんな感じに聞こえた。これも聴いていて楽しい。3人のアルメニア作曲家の作品が三者三様で、それぞれ違った雰囲気なのが、面白かった。

ハチャトゥリャン以外は、日本で演奏される機会がまだ多いとはいえないアルメニア作曲家の作品だが、秋場さんなどアルメニア音楽を深く研究している演奏家が取り上げてくれることで、我々も直にその作品に触れることが出来る。秋場さんは日本コミタス音楽協会会長も務めておられ、アルメニア音楽の紹介に尽力されている音楽家の、日本における第一人者である。

休憩のあとはショパンである。ショパンは日本でも超有名作曲家であるし、私もCDや演奏会などでほとんどの作品を聴いたことはあるはずだが、実は「ノクターン第13番ハ短調」とか「3つのマズルカ作品59」と言われても、すぐにその音楽が浮かばないのである。聴けば、どこかで聴いたことあるショパンのピアノ曲だということは分かるのだが、番号や調性を聴いてもピンとこないのである。

ノクターンの中でも比較的地味な(?)第13番にはじまり、3つのマズルカ、幻想ポロネーズを、続けて弾いた。ショパンも、アルメニアの音楽に続けて聴くと、やはり西欧とは違う趣があるように感じる。東洋的とまでは言わないが、どこか通じる部分もあるような気がした。アルメニアのあとにショパンを持ってきたプログラムも、もしかしたらそのような意図があったのかもしれない。

滅多に演奏されないアルメニアの音楽も、秋場さんのピアノは、ただ「珍しいものを弾きました」というだけの演奏では決してない。深く研究した成果が反映されているが、それをさらりと何事もないように弾いてみせて、作品の魅力を最大限に聴かせてくれる演奏である。もっと聴きたいのであるが、平日の演奏会では行くのが難しい場合も多く、ようやく日曜日の東京でのリサイタルで、じっくり聴くことが出来た。

アンコールはコミタスの「春」、「最近習得したばかり」というシューマンの「トロイメライ」、曲名は失念したがクラシックを少し離れて1曲、最後はラフマニノフの「鐘」と、4曲の大サービス。予めアンコール曲を用意していた訳ではなく、その場で決めての演奏だったようだが、アンコールもさすがの演奏であった。

会場を出ると小雨が降ってきた。帰る頃には(このあとちょっと所用があって寄道したが)、完全な雨降りになっていたが、鬱陶しい梅雨を吹き飛ばすような、素敵な演奏会だった。
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